高市首相 経済安保法改正を指示 サプライチェーンとデータ防衛を強化へ

2025/11/07 更新: 2025/11/07

政府は11月7日、首相官邸で第8回経済安全保障推進会議を開いた。国際情勢が複雑化するなか、高市首相はサプライチェーンや医療インフラを守る仕組みを強化し、経済安全保障法の改正に向けた検討を進めるよう関係閣僚に指示した。

高市氏は会議で、日本は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境にあると指摘。その上で、造船能力の回復や重要鉱物の確保など、サプライチェーンの強靱化に向けた施策をさらに強化する必要があると述べた。あわせて、医療インフラを含む基幹インフラのセキュリティ向上や安定供給の見直しにも言及し、「変化や新たな課題に迅速かつ強力に対応していく」と強調した。

高市氏また、大胆な危機管理投資によって力強い経済成長を目指すとともに、経済安全保障の確保を確実なものにしていく」と述べ、小野田経済安全保障担当大臣に対し、法改正の検討を早急に開始するよう指示。関係閣僚には、小野田大臣と連携して経済安保政策の実効性を高めるためのシンクタンク創設など体制整備を求めた。

政府は「経済財政運営と改革の基本方針 2025(骨太の方針2025)」に基づき、社会保険診療報酬支払基金や医療機関を基幹インフラ制度の対象に追加するほか、重要データの保有・処理先への規律強化、AI・デジタル基盤の整備を推進。さらに、港湾や修繕ドックなど民間事業者による海外での重要事業を支援する新たな枠組みや、海底ケーブル敷設といった通信インフラ事業への支援拡大も検討する。

経済安保推進法の改正は、サプライチェーンの脆弱性や新興技術をめぐる競争が激化する中、政府の危機対応力と産業競争力を一体的に高める狙いがある。今後、関係省庁や有識者による具体的な制度設計が焦点となる。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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