米議会報告書 中共が重要鉱物価格を操作 世界市場支配を狙う

2025/11/14 更新: 2025/11/14

11月12日に公表された超党派の米議会報告書によれば、中国共産党(中共)は世界的野心を進めるため、重要鉱物市場を操作しているという。

米下院の対中戦略特別委員会は、価格操作の実態を調査した結果をまとめ、「略奪的価格設定(Predatory Pricing)」と題する報告書を発表した。

委員長のジョン・ムーレナー議員は声明で、「携帯電話から戦闘機まで、アメリカのあらゆる産業が、中国が自己の利益のために操作する鉱物に依存している」と述べた。「先月のレアアースに関する新規制が示すように、中国は我々の経済に銃口を向けており、迅速な対応が必要だ」と警告した。

ムーレナー氏は、中共のこうした行為によって、米国人の雇用が奪われ、国内の鉱山業が衰退し、国家安全保障まで脅かされていると批判した。

調査では、中共政権が国有鉱山企業に数百億ドル規模の補助金を投入し、海外での鉱物資産獲得を支援するため無利子融資を与えている実態が確認された。

中共は、レアアース供給網の支配を目的に、数十年にわたり戦略的に行動してきたという。欧米企業を取り込み中国企業との提携に誘導したうえで、市場価格を大幅に下回る価格で製品を販売し、競合企業を市場から排除していった。

報告書は「中国は支配的地位を築いた後、その市場支配力を地政学的な武器として行使した」と結論づけた。

さらに中共当局は、鉱物価格の報告に関する法律制度を整え、自国の安全保障上の利益に沿うよう価格を上下させられる仕組みを持つという。

中共は、西側企業が市場参入しないよう、意図的にレアアース価格を低く抑えてきたとされる。

報告書は、充電式電池やEV用電池に欠かせないリチウムなどの重要鉱物についても、中共政権が価格を押し下げていたと指摘している。

調査によると、中国の鉱山企業は2030年まで世界のリチウム生産で主導的な立場を維持すると見込まれている。

価格が低かった間、中共政権は国内企業を補助金で後押しし、海外の鉱山資産を積極的に買収させることで、世界のサプライチェーンに対する支配を固めてきた。

報告書は、「中国共産党の支配下にある中国政府は、重要鉱物を支配し世界市場を意のままに操るため、数十年にわたり組織的な計画を進めてきた」と述べている。

10月9日、中共商務省はレアアース製品の輸出許可制度を導入したが、調査によれば、これは長年にわたる政策と投資、その他の取り組みの集大成だという。

報告書は、重要鉱物に関する資金措置や産業基盤プログラムを、いわゆる「重要鉱物担当カザー(czar)」など単一の権限に統合することを提言している。

また、アメリカの鉱山開発や資源回収を強化し、重要な安全基準を維持しつつ許認可手続きを迅速化することも提案している。

このほか、不当に安価な輸入品がアメリカ産業を脅かすことを防ぎ、価格やコストを把握するための連邦ツールを整備し、重要鉱物に関する同盟国との連携を強化することも求めている。

さらに、石油備蓄制度にならった「戦略資源備蓄」の創設も提案された。

委員会は、重要鉱物向けの税額控除の導入、関連プロジェクトへの低利融資の支援、アメリカのレアアース産業に従事する人材育成の推進も必要だとしている。

政治、環境、州全体の問題をカバーする受賞歴のあるジャーナリストです。彼女はオレゴン州、ネバダ州、ニューメキシコ州の新聞で記者および編集者を務めてきました。
関連特集: アメリカ政治