令和7年11月18日、高市早苗首相は首相官邸で開かれた政府税制調査会第6回総会に出席し、物価高対策を最優先課題に据えた税制改革の方向性を強調した。首相は挨拶で、「国民の暮らしや未来への不安を希望に変え、『強い経済』を作る」と述べ、積極的な財政出動と税制の見直しを車の両輪とする姿勢を示した。
高市首相は、経済再生の実現に向け「責任ある積極財政」を掲げ、戦略的な財政出動を継続する考えを明示。その上で「政府債務残高の対GDP比を引き下げていく」と語り、財政規律の維持にも配慮する姿勢を示した。

インフレ下で実質所得が圧迫される中、「所得税の基礎控除を物価に連動してさらに引き上げる税制措置」を検討対象として挙げたことは、国民の可処分所得の底上げを狙う具体策として注目される。
また、企業向けの租税特別措置についても「データに基づく政策効果の検証が大切」と強調。税制におけるEBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)の導入を進め、政策効果の可視化を図る姿勢を見せた。
さらに首相は、日本税制を「経済社会を映す鏡」と位置づけ、少子高齢化やグローバル化など構造的課題を踏まえた中長期的な制度設計の必要性を訴えた。
総理発言からは、高市政権が単なる「物価対策」にとどまらず、「構造的な財政再設計と成長戦略の融合」を目指している姿勢が透けて見える。今後の税制改正議論では、減税の範囲と財源の確保をめぐり、政権の実行力が試される展開になりそうだ。
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