元ハーバード大学学長で、元米財務長官のラリー・サマーズ氏は、故ジェフリー・エプスタイン(児童性犯罪で有罪判決を受けた人物)とのメールが公開された責任を取る形で、ハーバード大学を休職し、OpenAIの取締役を辞任した。
サマーズ氏はこれまで「ハーバード大学で経済学の講義を続ける」と公言していたが、ハーバード大学の学生新聞『The Harvard Crimson』が最初に報じたところによると、大学側は休職扱いとする方針に転換した。
サマーズ氏の広報担当者スティーブン・ゴールドバーグ氏によると、次学期は担当講義がなく、ケネディ行政大学院内のモサヴァル・ラフマニ・ビジネス&ガバメントセンター(Mossavar-Rahmani Center for Business and Government:M-RCBG)所長の職務からも休職する。
ゴールドバーグ氏はAP通信に対し、「ハーバード大学が調査を行っている間、センターのためにもサマーズ氏が所長職を休むのが最善だと判断した」と説明した。
サマーズ氏は11月19日、OpenAIの取締役も辞任することを明らかにした。「公的な職務から距離を置くというこれまでの発表に沿って、OpenAIの取締役も辞任することにした。これまで取締役を務められたことに感謝している。会社の将来性には大いに期待しており、今後の発展を見守りたいと思う」とエポックタイムズへのメールで語った。
サマーズ氏は以前から「エプスタインと関わりを持ったことを深く後悔している」と繰り返し述べていた。
今週初めにも「人生で大きな後悔がいくつかある。エプスタインとの付き合いは重大な判断ミスだった」とメディアにコメントしている。
ChatGPTを生み出した人工知能企業OpenAIは、本稿執筆時点でコメントを控えている。
サマーズ氏は2023年にOpenAIの取締役に就任した。当時、前の取締役会がCEOのサム・アルトマン氏を突然解任した混乱を収拾し、アルトマン氏を復帰させるための安定化策の一環だった。
米下院監視委員会が最近公開した約2万ページの文書の中には、サマーズ氏が2008年にエプスタインが未成年者売春斡旋で有罪を認め、2019年にはさらに連邦レベルで少女への性的虐待・人身売買の罪で起訴された後も、親しいやり取りを続けていたメールが複数含まれていた。
例えば2019年3月のメールでは、サマーズ氏が自分に冷たくした女性との電話のやり取りをエプスタインに報告している。「『最近何してる?』と聞いたら『忙しい』と言われた。『ずいぶんそっけないね』と返した」と書き、その後の会話がぎこちなかったと伝えている。
エプスタインは「その女性は頭がいい。過去の過ちの代償を払わせているんだ。でも君はよく対応した。弱音を吐かずに強さを見せた」と励ますような返信をしている。
また2016年のメールでは、エプスタインがセネガル元大臣のカリム・ワッド氏と引き合わせたお礼に、サマーズ氏が「必要なら誰にでも静かに助言するよ」と書いている。
ハーバード大学は11月20日、新たに公開されたエプスタイン関連文書にサマーズ氏の名前が含まれていることを受け、大学としての対応を検討するため改めて調査を行うと発表した。
大学広報は「新資料に登場するハーバード関係者について情報を精査し、必要に応じて適切な措置を取る」としている。
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