【十字路口】高市氏攻撃が逆効果に 中共イメージ悪化の現実

2025/11/26 更新: 2025/11/27

中国共産党(中共)が日本に対して極限の圧力をかけたものの、その攻勢が完全に失敗し、反日の動きが逆に「中国の国際的イメージを傷つける結果」を生んだ。このような事態がどのような理由で発生したのかを検討したい。

中共、日本への極限圧力 攻勢の失敗が「自国侮辱」へ転化した構図

11月7日、日本の首相である高市早苗氏が国会での質疑応答で、「台湾有事」が発生し、しかも状況が深刻になった場合、日本にとって存亡の危機となる可能性があり、自衛隊の出動を検討することになる、という趣旨の発言を行った。

この「台湾有事」をめぐる発言が出た後、中共は激しい反発を示し、日本に対して報復や極限の圧力を加える方針を打ち出し、メディア戦、外交戦、経済戦を次々と展開し、高市氏に謝罪と辞任を要求した。

中共はまるで文化大革命期の「紅衛兵」のような行動様式を取り、日本に対する非難のトーンをさらに高め、「中共は日本に対して一方的に武力を行使する権利を有する」といった脅迫的な発言まで発した。中国国内のメディアおよび海外の親中メディアは、「高市氏を攻撃する」「高市氏を憎悪する」「反日を煽動する」といった記事を大量に配信し、世論戦を大規模に展開した。あたかも高市氏が日本国民から追放寸前に追い込まれ、日本の政権交代が目前であるかのような印象を作り出した。しかし、実際の状況はその印象とは正反対であった。

高市氏は自らの発言を一切撤回せず、中共が攻撃を強めるほど支持率が急上昇した。日本最大の一般紙である「読売新聞」の最新世論調査によれば、高市内閣の支持率は依然として72%と非常に高い数字を維持し、中共への対応についても56%の日本国民が「評価する」と回答した。つまり、日本人の過半数が高市氏の対中強硬姿勢を支持し、反対は29%にとどまっている。この調査結果に対し、中国のメディアおよびネット上の議論空間は沈黙を保ち、一切報じなかった。

この事実は改めて、「中共こそが海外政治家にとって最強の選挙応援団である」という現象を再確認させる。中共が誰かを激しく攻撃すればするほど、その人物が世論から支持を集める傾向にある。したがって、台湾の各政党が2028年の総統選で勝利を望むのであれば、親中路線ではなく、反中・抗中の立場を明確に打ち出す方が有利になると言える。

ここで強調すべき点は、中共が今回日本に対して行った「侮辱動員」や報復行動が、「反日」や「高市氏の排除」という本来の目標をまったく実現できず、逆に「中国を辱める」「中国のイメージを貶める」という結果を生み出したことである。そして、この結果が世界の人々に中共政権および中国そのものへの不信感と警戒心をより強く抱かせる状況を作り出したという点である。なぜこのような結果が生じたのか。

原因1:民族的自尊心を刺激し、日本社会が中共のいじめ行為に強く反発したため

第一の理由は、中共が実施した反日キャンペーンが日本人の民族的自尊心を刺激し、中共が行う「日本に対するいじめ行為」への嫌悪感を急速に強めたことである。その結果、日本人は高市氏への支持をさらに強化し、「中共に屈しない」「国家と国土を守る」という姿勢をより明確に示した。

例えば、中共は高市氏を攻撃する漫画を作成し、「軍国主義の亡霊を呼び戻している」と描いた。しかし、日本のネットユーザーたちはその漫画に対し即座にコラージュ画像などで反撃し、中共の党首こそが「真の招魂対象である」と皮肉を込めて描き返した。

さらに注目すべき点として、72%という高市氏の支持率は実際よりも低めに出ている可能性が高い。近年の日本のメディアには明確な左傾化の傾向が存在するため、保守的な人々はメディアの電話調査に対し率直な意見を語らず、回答を控える傾向がある。この現象は「抑制効果」と呼ばれる。したがって、高市氏の実際の支持率はさらに高水準にある可能性が高く、「中共に反発し、強硬姿勢を支持する」日本の世論は表面に現れた数字以上に強いと考えられる。

原因2:中共官僚とメディアの下品な言動が日本社会の強い反感を招いたため

第二の理由は、中共の官僚やメディアが下品な表現を頻繁に使い、その言動のレベルが著しく低下していることである。この品位の欠如が、日本人の強い反感を引き起こしている。

最近の例として、大阪の中国総領事である薛剣が「高市氏を斬首する」と示唆する投稿を行い、大きな問題を引き起こした。大阪市議会はこれに対して全会一致で謝罪要求決議を採択し、ヨーロッパ各国からも「薛剣の発言は極めて不適切であり、中国へ帰国させるべきである」という声が上がった。

さらに、中共メディアはこれを上回るほど過激かつ下品な表現を用いている。国営放送CCTV傘下の新メディア「玉淵譚天」は、「高市氏は口から排泄物を撒き散らしている」「高市氏の頭はロバに蹴られた」といった侮辱表現を連発した。外交官と国営メディアが同様の品位欠如を露呈する国に高い教養や品格を期待することは難しい。中共の外交官採用試験には「罵り言葉を用いて祖国への忠誠心を示せ」という設問でも存在するのではないかと疑いたくなるほどである。

このような暴力団的な言動は、世界各国に「中共の官僚は本当に統治能力を有しているのか」という疑念を抱かせるだけでなく、「今日の中国社会に文明がまだ存在しているのか」という根本的な疑問すら生み出している。

原因3:中共のご都合主義と虚偽の論理

第三の理由は、中共が「白黒を転倒させ、自らの罪を他者に押し付ける」という常套手段を今回も用いている点である。中共は、日本への攻撃を強化する根拠として、「高市氏の『台湾有事=日本有事』発言は日本軍国主義の復活を示す」という断定的解釈を掲げたのである。

この論法は、国内向けのプロパガンダとして中国国民を欺く効果を狙うものであるが、海外では理性的な観察者なら誰でも瞬時に「中共の論理破綻」と理解する状況である。文字どおり「泥棒が他人を泥棒呼ばわりする」構図である。

そもそも「軍国主義」とは、外部に先制侵略を仕掛ける姿勢そのものである。ところが、高市氏の「台湾有事」をめぐる発言は、自国防衛の枠組みについて論じたものであり、「隣家が火事になれば自宅も危険にさらされる」という当たり前の認識と同質である。隣家が本当に火事になれば、誰もが家族総出で消火に協力しようとするはずである。これが常識的対応である。このような自衛・防衛に関する議論を「軍国主義」と断じる行為は、完全な言いがかりである。

視点を変えて考えれば、現在の世界で軍国主義を体現している主体はどこかという問いに対し、ロシアと中共以外の選択肢を挙げることは困難である。軍国主義には「独裁体制」「積極的軍拡」「極端な民族主義の鼓吹」という三つの典型的特徴があるが、中共はこれら三点すべてを完全に満たしている。

中共はここ数年、軍備拡張に注力し続け、兵力規模はすでに二百万人に達した。軍艦の大量建造も絶え間なく進行している。それにもかかわらず、世界に「中国を侵略しよう」と考える国は存在しない。

外部からの明確な脅威が欠如しているにもかかわらず、中共が軍拡を加速させる理由はひとつだけである。中共自身が対外侵略の準備を推進しているからである。すなわち、軍国主義の実践者は中共そのものであり、彼らが構想する対外拡張シナリオは「台湾を併呑し、日本を制し、アメリカを排除する」という流れである。まず台湾支配を確立し、その後に沖縄や南西諸島の掌握を企図し、さらに西太平洋に軍を展開して米軍をインド太平洋から押し出そうとする構想である。そして最終的には「人類運命共同体」という幻想の実現を狙っている。

したがって、中共が日本を「軍国主義」と非難する行為は、まさに「盗人猛々しい」と形容すべき茶番である。この自己矛盾は日本国民の反発を招く結果となり、同時に各国における中共および中国への印象を一段と悪化させた。

原因4:中共によるフェイクニュースと事実のすり替え

前回の番組では、中国共産党が掌握する海外の「某鳥衛星テレビ」が最近放送した報道について紹介した。この報道は「日本の首相官邸前で百人規模の日本人が高市氏に抗議し辞任を求めた」と主張していたが、これは完全な捏造である。実際に現場にいたのは十数人から二十人程度であり、首相官邸前ではもともと市民が政府に抗議や要望を表明する活動が恒常的に行われているだけである。

さらに、東京在住のメディア関係者の知人の証言によれば、彼は「某鳥衛星テレビ」のスタッフが抗議者を意図的に煽り、過激かつ大げさな行動を取らせようとしていた場面を目撃したという。スタッフはその際、「中国人民はあなたたちに感謝する」「あなたたちは中国の歴史に名を残す」といった言葉を投げかけていた。つまり、この報道は中国共産党が自ら演出したフェイクニュースである。

驚くべきことに、中国共産党の公式メディアはこの偽情報に固執し、これを根拠として記者を日本の外相のもとに送り込み、直接日本側を侮辱しようとする行動に踏み切った。しかし結果は完全に逆転し、日本の外相がその場で鮮やかに虚偽を指摘し、事実が露呈した。

中国共産党はフェイクニュースを利用した認知戦を展開し、日本に対する攻撃だけでなく、自国民をも対象にしている。中共の公式メディアは「心を尽くし、わが愛しき祖国のために」という記事を掲げ、その中で「ある労働者が日本の挑発に応じるため、月に五回の無償残業を自ら申し出た」と主張した。

この記事が公開されるや否や、中国のネットユーザーの批判が殺到した。誰が読んでも、これは典型的な「低レベルな愛国偽装」であり、AI時代においてもこのような安易なフェイクニュースで国民の愛国心を煽ろうとする姿勢は稚拙すぎるという指摘が相次いだ。中には「この記事の作者は日本のスパイではないか。徹底的に調査せよ」と書き込むユーザーさえ現れた。つまり、中国共産党のフェイクニュースは、自国民でさえ信じなくなっている状況に至っているのである。このような状況で外国人を欺くことなど、もはや不可能である。

原因5:琉球独立の煽動 主権の否定と国土分裂工作

中国共産党は、公然と琉球独立を煽動し、日本の主権を否定し、国土を分裂させようとする行為を行っている。当然ながら、これは日本人にとって到底受け入れられるものではないが、さらに悪いことに、その琉球(沖縄)分裂工作の実態が明確になった。

中国共産党が日本との関係を悪化させた後、SNS「X」上には「琉球独立」を支持する投稿や動画が次々と出現した。これらの動画は非常に精巧な仕上がりであり、中国語と英語を併記しているため、一般のネットユーザーが個人的に作成したものではなく、その背後に「中央の制作部門(中央キッチン)」が存在する事実が浮かび上がった。

皮肉なことに、最近「X」はアカウントの発信地やログイン方法を表示する新機能を導入した。日本のネットユーザーがこれを確認したところ、琉球独立を中国語や日本語で主張するアカウントの大部分が、中国国内からアクセスし、中国製アプリを用いてログインしている事実が判明した。つまり、これらのアカウントは中国共産党のサイバー部隊や工作員である可能性が極めて高いのである。

この事実が公になったことで、情報は瞬く間に日本のネット上に広がり、日本人はようやく理解した。日本の皇室を攻撃したり、国土の分裂を煽ったりする多くの言説の背後に、中国共産党による組織的な情報操作が存在するという現実を。これは明確な意図と計画を備えた「国外からの干渉」という行為そのものである。

中国共産党は口先では「外国は内政に干渉するな」と主張しながら、自らは長期にわたり他国の内政へ干渉し、さらには他国の領土分裂を画策してきた。中国共産党こそ世界最大級のテロリスト的存在であり、詐欺的な政権であると言わざるを得ない。

原因6:友を敵に変え、諸国を覚醒させる

中国共産党による「反日」が「自国侮辱」へと転じたもう一つの理由は、中国共産党が絶えず「友を敵に変える」行動を続けた結果、各国が次々と目を覚ましていったという点にある。

周知のとおり、これまでウクライナとイスラエルは中国共産党と比較的友好的な外交関係を維持してきた。ウクライナはかつて中国との「戦略的パートナーシップの深化」を掲げ、イスラエルは中国共産党に多くの重要技術を提供した。

最近、国連総会第三委員会は中国における深刻な人権侵害を非難する共同声明を発表した。この声明は、中国共産党が国内外で少数民族や宗教団体に対して組織的な弾圧を行っていると批判し、ウイグル族、チベット族、キリスト教徒、法輪功学習者などを被害者として挙げた。

中国共産党による人権弾圧は新しい問題ではないが、今回は「国際社会がその事実を公式に認定した」という重要な意味を持つ。特に注目すべきは、この声明に署名した15か国の中に、イギリス、アメリカ、日本だけでなく、イスラエルとウクライナが含まれている点である。これは非常に象徴的な出来事である。

英米日が中国共産党を批判することは予想できるが、なぜイスラエルが中国共産党から距離を置くようになったのか。その一因は、中国共産党がパレスチナ国家の樹立を支持し、ハマスやイランを裏で支援し、武器や資金を提供することでイスラエルへの攻撃を促す勢力として認識された点にある。これがイスラエルが中国共産党に背を向けた大きな理由である。

では、ウクライナが中国共産党と決別し始めた理由は何であるのか。ロシア・ウクライナ戦争が長期化する中で、ウクライナは自国の戦場で対峙する相手がロシアだけではなく、中国共産党や北朝鮮も含まれているという現実に気づいた。中国共産党は「ウクライナ危機の平和的解決を推進する」と口にしながら、実際にはロシアを支援し、アメリカとNATOを牽制する行動を取ってきた。この矛盾を踏まえ、ウクライナも目を覚ましつつある。

さらに、今回の日本に対する中国共産党の「戦狼」的、あるいは「狂犬」的な報復行動が、多くの国々へ中国共産党の本性をさらけ出す結果となった。そのため各国は中国共産党から距離を置き、防衛体制を強化し始めている。今後、多くの国々の対中外交政策は、ますます慎重かつ警戒的になると予想される。

原因7:内政危機を対外に転嫁

最後の理由は、中国共産党が深刻な内部危機に直面し、それを外敵を作り出すことでごまかし、国民の不満をそらし、圧力を逃がそうとしている点にある。

現在の中国共産党にとって最大の内政上の危機は経済である。中国経済はデフレに陥り、多くの外資や外資系企業が次々と撤退し、その結果として全国的に高い失業率、低所得、高負債、低消費という悪循環が生じている。

このような状況の中で、中国共産党は日本を「国家の敵」「民族の敵」として大々的に非難し、連日言論戦や威嚇行動を繰り返している。これは国民の視線や怒りを国外の「敵」へ向けさせ、共産党への不満をそらすための措置である。言い換えれば、「外敵を叩いて内を安んずる(攘外以安内)」という政権維持のための古典的な策略である。

しかし、このような目くらましの手法はもはや時代遅れとなりつつある。国際社会はすでにその手口を見抜いており、中国の国民自身も次第に理解し始めている。中国共産党は自国民を抑圧し、人民が反乱することを恐れて国外へ矛先を向け、その敵意を国民と共有することで不満をそらそうとする。しかし、その結果、国際社会における中国共産党と中国のイメージはさらに悪化し、最終的には中国共産党が孤立し、中国人民もその余波で苦しむ可能性が高い。

ここまでの議論を踏まえると、中国共産党の「反日」が最終的に「自国侮辱(辱華)」へ変質した理由がよく理解できる。結局、中国共産党はヨーロッパから輸入した共産イデオロギーを基盤としており、真の「反中・反華勢力」であり、中国民族にとって最大の脅威であり、最大の敵と言えるのである。

唐浩
台湾の大手財経誌の研究員兼上級記者を経て、米国でテレビニュース番組プロデューサー、新聞社編集長などを歴任。現在は自身の動画番組「世界十字路口」「唐浩視界」で中国を含む国際時事を解説する。米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、台湾の政経最前線などにも評論家として出演。古詩や唐詩を主に扱う詩人でもあり、詩集「唐浩詩集」を出版した。旅行が好きで、日本の京都や奈良も訪れる。 新興プラットフォーム「乾淨世界(Ganjing World)」個人ページに多数動画掲載。
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