中国で感染急拡大 複数のウイルスが同時流行 各地で休校も  

2025/12/05 更新: 2025/12/05

冬に入って以降、中国の多くの地域で呼吸器系疾患が流行のピークを迎えつつあり、少なくとも17の省でインフルエンザが流行している。北京では他地域に先駆けて流行がピークに達し、インフルエンザの陽性率は45%近くに上っている。病院には患者が殺到して混雑が続き、学校でも休校が相次いでいる。住民の間からは、「一度発熱すると熱がなかなか下がらず、症状が長引く」といった声が広がっている。河南省鄭州市などでは、重症の小児患者が報告されている。専門家は、現在のインフルエンザが手足口病と同時に流行しており、感染力が通常の風邪を大きく上回るとして、保護者に対して警戒を強めるよう呼びかけている。

北京市民
「今、北京ではどんなウイルスが流行しているのか分からないけど、この波は本当に強烈である。今日で4日目になる」

中国メディアによると、中国はすでに呼吸器感染症の流行シーズンに入り、少なくとも17の省でインフルエンザが流行段階に入っている。現在、A(H3N2)型インフルエンザウイルス、A(H1N1)型、そしてB型インフルエンザウイルスが同時に拡大している。複数の省が注意喚起を行っており、全国的な流行のピークは12月中旬に現れる可能性が高いとしているが、北京など一部地域ではすでにピーク期に突入している状況だ。

北京市民
「今回のA型インフルエンザの勢いは本当にすごい。うちも耐えきれなかった。昨日、病院で検査したところ、医師から感染力が非常に強いと言われた」

中国疾病予防管理センター(CDC)が発表した最新の監視データによると、全国の外来・救急診療におけるインフルエンザ様症例の陽性率は約45%に達している。実際の数値は、これよりさらに高い可能性があるとみられている。

医師によると、感染者の層は小中学生から大学生、さらには社会人へと広がっており、主な流行株はA(H3N2)型であるとしている。多くの地域ではすでに学校が休校となり、病院も病床数がひっ迫している。

報道によると、鄭州や河南省など各地で重症の小児患者が確認されている。11月中旬、河南省濮陽市では、3歳の男児がA型インフルエンザに感染し、発症から1日以内に亡くなった。このニュースは、ネット上で多くの保護者の不安を呼び起こした。

中国の市民
「子ども病院に行ったところ、小さな子どもが非常に多く来ていた。薬を処方されて飲み続けてもう1週間になるが、全く良くならない」

一部の住民によると、東北、河北、浙江などでも感染状況は非常に深刻だという。別の報道では、浙江省ではインフルエンザに加えて手足口病も流行していると伝えられている。浙江省紹興市のある小学校では、手足口病の症状がある児童が2人確認され、学校は急きょ7日間の休校を決定した。

元米陸軍研究所ウイルス学研究員 林暁旭博士
「現在、世界的に流行している手足口病は主に2種類のウイルスによって引き起こされている。一つはコクサッキーA16型ウイルス(Coxsackie A16)、もう一つはエンテロウイルス71型(EV71)である。コクサッキーA16型は比較的軽症で済むことが多い一方、EV71型は重症化しやすく、神経系への感染や脳膜炎を引き起こす可能性がある。入院した子どもが重症化すると、致死率が約0.1%に達する場合もあり、非常に危険だ」

現在、手足口病に特効薬はなく、専門家はその感染力が通常の風邪をはるかに上回るとして、保護者に注意を促している。

林曉旭氏
「子どもが感染し、幼稚園内で広がると、その感染速度は非常に速くなる。できるだけ早期に気づいて治療することが大切である。子どもがこのウイルスを体内に保有している間、感染前の約1週間は自覚症状がほとんどなくても、すでに他者に感染させる力があるためだ。その結果、病院を受診する頃には、すでに多くの人にうつしてしまっているケースが少なくない。感染拡大の抑制は非常に難しい状況だ」

 

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