香港議会選めぐり 中共が海外メディアに「レッドライン触れるな」と圧力 

2025/12/08 更新: 2025/12/08

香港立法会(議会)選挙が7日に実施された。しかし、11月下旬の大埔地区にある高層住宅「宏福苑」で発生した大規模火災の影響が社会に色濃く残り、市民の投票意欲は著しく低下している。

選挙前日の6日、中国共産党政権の出先機関である「中央政府駐香港連絡弁公室」は、一部の海外メディア関係者を呼び出し、香港の法律を順守し「レッドライン」に触れるような報道を避けるよう圧力をかけた。中共の出先機関「駐香港国家安全維持公署」も同日、立法会選挙を「攻撃する」論調を控えるよう強調した。

一方、宏福苑での火災で少なくとも159人が死亡、30人以上が行方不明となっている。台湾在住の数百人の香港市民は6日夜、台北の自由広場で追悼集会を開き、折り鶴で「HK」の文字を形作って犠牲者を悼んだ。

台湾在住の香港人、ジェイド・ヤンさんは「本来、この選挙は行うべきではない」と指摘。「香港に残る人々も、私たちのように離れた者も深く傷ついている」と語った。

火災への政府の対応をめぐり香港市民から批判が出ている状況についても触れ、「結局は責任を取らない政府を再び選ぶだけになってしまう」と述べ、選挙の実施そのものに疑義を呈した。

香港立法会の前議員、シン・チュンカイ氏も「人々は選挙に関心を向けられる状況にない。今は心を癒やす時間が必要だ」と語っている。

火災後、香港政府は批判を抑え込む姿勢を見せており、独立調査を求めた香港大学の学生、区議会前議員、大埔地区のボランティアらが相次いで逮捕されている。

深い悲しみと不信感が広がる中で行われた今回の選挙では、市民の関心は大きく低下し、また火災への対応をめぐり政府への不信感が強っていることも重なり、投票率は31.9%と低調にとどまった。

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