中露軍機が日韓周辺で同時行動 韓国KADIZに9機 日本周辺でも共同飛行

2025/12/10 更新: 2025/12/10

中国共産党(中共)とロシアの軍用機が12月9日、同日に日本と韓国の周辺空域で活動し、両国は戦闘機を緊急発進させた。行動範囲は日本海から東シナ海、太平洋、さらに韓国の防空識別圏まで広がり、中露両軍が東アジアで協調して軍事的存在感を示した形となった。

韓国軍によると、午前10時ごろ、中共軍機2機とロシア軍機7機の計9機が韓国東部と南部の防空識別圏に進入した。爆撃機や戦闘機が含まれており、韓国空軍は戦闘機を緊急発進させて警戒に当たった。航空機は約1時間滞在した後、圏外へ離脱した。

飛行経路は複数の敏感海域に及び、ロシア軍機は竹島周辺の防識圏に接近したほか、中共軍機は離於島付近を飛行した。最終的に両国機は対馬付近で合流し、区域外へ抜けた。韓国の聯合ニュースは、これらの航空機の一部が中露の合同訓練に参加していたとみられると報じた。

韓国軍はロシアとのホットラインを通じて意図を照会し、ロシア側は定例訓練であり領空侵犯の意思はないと回答した。一方、中共とはホットラインがなく、韓国側は意図を確認できていない。

同じ9日、日本周辺でも中露軍機の協調行動が確認された。

ロシアの爆撃機が日本海から東シナ海へ進出し、同空域で中共の爆撃機2機と合流した。その後、両国機は四国沖の太平洋へ向けて長距離飛行を行った。さらに爆撃機が沖縄本島と宮古島の間を往復通過した際には、中共の戦闘機4機が合流した。日本海でもロシアの早期警戒管制機や戦闘機が確認され、航空自衛隊は戦闘機を緊急発進させた。領空侵犯はなかった。

中共国防省は同日、東シナ海と西太平洋でロシア軍との合同戦略パトロールを実施したと発表したが、韓国の防空識別圏に進入した件については触れなかった。韓国側の警戒態勢とは対照的に、中露両軍の行動の透明性が十分でない点が指摘されている。

今回の行動は、単一空域ではなく日韓双方の周辺空域で同じ日に相次いで広域的な活動が確認された点に特徴がある。韓国では敏感海域付近への接近、日本では太平洋や沖縄周辺への進出が重なり、中露両軍の協調が鮮明となった。

中露の共同飛行は近年頻度が増しており、韓国の防空識別圏への予告なしの進入も2019年以降ほぼ毎年確認されている。日韓両国は今回緊急発進で対応したが、偶発的な衝突の懸念は高まっている。中露両軍が今後も東アジアで協調行動を続ければ、地域の安全保障環境は一層緊張が増す可能性がある。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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