オーストラリアが世界初、16歳未満のSNS使用を12月10日全面禁止!TikTok・Instagram・YouTube対象で違反企業に最大48億円罰金。アルバニージー首相「子供を守る」と強調、成人77%支持も青少年70%反対。各国追随の動きは?
10日から、オーストラリアでは16歳未満に対し、Facebook、Instagram、YouTube、Snapchat、TikTok、Reddit、X(旧Twitter)、そして最近追加されたTwitchなどのプラットフォームの使用を禁止している。この規制に違反し、未成年の使用を防止できなかったSNS企業には、最大4950万豪ドル(約48億円)の罰金が科される可能性がある。
この禁止令は昨年11月にオーストラリア連邦議会で可決された。アンソニー・アルバニージー首相(Anthony Albanese)は当時、「オーストラリアの若者が発達する重要な時期に、より大きな保護を与えることを目的としている」と述べた。
同首相はさらに、「ソーシャルメディアは私たちの子供たちに社会的な害をもたらしている。私たちは今、それに立ち向かった。子供たちが本来の子供時代を過ごし、親たちが私たちの取り組みを支援と感じられるよう願っている」と強調した。
オーストラリア通信・電子安全局の2025年報告書によると、2024年時点で8〜12歳の子供130万人(全体の約80%)がSNSを使用したことがある。
オーストラリア成人の77%が禁止を支持
全国放送局ABCが12月に公表した調査によれば、9~15歳の青少年のうち70%が「この禁止は良い考えではない」と答え、75%が「SNSの使用をやめるつもりはない」と回答した。
一方、この禁止令は社会的に大きな支持を得ている。調査会社YouGovが昨年11月に実施した世論調査によると、オーストラリアの成人の77%がこの禁止措置の導入を支持している。
通信相「短期的な不便より長期的な利益を優先」
アニカ・ウェルズ通信相(Anika Wells)は、「青少年がSNSに依存するのは不具合ではなく、設計上の仕様だ」と述べ、短期的な不便を受け入れても長期的な利益を得る価値があると強調した。
またウェルズ氏は、若年層の利用者がLemon8など他のプラットフォームに移行する場合、今後それらも禁止対象に加える可能性があると指摘した。
保護者のマリー氏(Murray)は、SNS禁止令によって「オンライン上の危険人物」やいじめから子供たちが守られ、画面を見つめる時間も減ると評価する一方で、一部の親にとっては「子供の世話」がより難しくなるとの見方を示した。
14歳の息子ルイス(Lewis)くんは、SNSを減らすことで友人たちが集中力を取り戻せると語り、9歳の娘サニー(Sunni)さんは自らを「iPadっ子」と呼び、「もしYouTubeのショート動画が見られなくなったら大泣きしてしまう」と心配しつつも、「その分もっと外に遊びに行くかもしれない」と話した。
オーストラリアによるこの世界初の禁止令は12月10日に正式に施行。その運用の詳細と実際の効果については各方面から注目が集まっている。
世界の動き:マレーシア追随、EU・米国などの関連政策一覧
オーストラリア通信・電子安全局のジュリー・インマン・グラント(Julie Inman Grant)局長は、この禁止令について「最初のドミノ倒し」と評し、EU、インドネシア、ニュージーランド、マレーシアなど各国・地域が関心を示していると述べた。マレーシアは来年に追随する予定であるという。
マレーシアは今年11月、2026年から16歳未満の子供に対しSNS使用を禁止すると発表した。
EUも11月に、SNS利用の最低年齢を16歳に引き上げ、「年齢に適したインターネット利用」を確保するよう求める決議を採択した。ただし、この決議には法的拘束力はない。
ドイツ、フランス、デンマーク、ノルウェー、イタリアなどでは、未成年者は保護者の同意がある場合のみSNSを利用できると明確に定めている。
英国では2023年に成立し、今年施行した「オンライン安全法」において、ソーシャルメディアの基準を引き上げ、年齢制限を設けて未成年者が有害なコンテンツに触れることを防ぐ措置を導入したが、具体的な年齢制限は明記していない。
アメリカの「児童オンラインプライバシー保護法(The Children’s Online Privacy Protection Act)」では、13歳未満の子供の個人情報を保護者の同意なしにSNS企業が収集することを禁止している。また、いくつかの州では、未成年者がSNSを使用する際に親の同意を義務付ける法律も制定している。しかし、このような法律は表現の自由との兼ね合いから、たびたび訴訟の対象となっている。
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