12月18日、アップルは日本でiOSを開放し、第三者によるアプリストアを認めると発表した。これにより、開発者はデジタルコンテンツやサービスの販売において、App Store以外の決済方法を利用できるようになる。これは、近く施行される日本の「モバイル・ソフトウェア競争促進法(スマホ新法)」に対応するための措置で、アップルが自主的に行ったものではない。
この対応により、アップルのApp Store事業は、再び反独占法の影響を受けることになった。すでにアップルは、EUの「デジタル市場法」に基づき、ヨーロッパで第三者アプリストアを認めるなど、大幅なシステム変更を行っている。
アメリカでも、人気ゲーム「フォートナイト」を開発するエピック・ゲームズの訴訟を受け、裁判所が外部決済の利用を認める判断を示した。独占は認定されなかったものの、開発者がアップルの決済を使わずに取引する権利は認められており、具体的な運用方法は現在も議論が続いている。
アップルは今回の発表にあたり、第三者アプリストアや外部決済の導入によって、マルウェアや詐欺、プライバシーやセキュリティ上のリスクが高まる可能性があると警告した。
こうした懸念を踏まえ、アップルは日本の規制当局と協力し、第三者アプリストアに対して「公証(ノータリゼーション)」と呼ばれる認証手続きを義務付ける方針を示した。不適切なコンテンツや詐欺から、特に子どもを守ることを目的としている。
専門家の間では、アップルが示した技術的・管理的な仕組みは、開放と安全性を両立させる一つの方法だとの見方がある。一方で、欧州と同様、日本でも収益への影響を抑えるため、複雑な料金体系が設けられている点には注意が必要だとされている。
これに対し、エピック・ゲームズのティム・スウィーニー最高経営責任者は強く反発した。同氏は、アップルが第三者アプリ内課金に21%の手数料を課していることを問題視し、「フォートナイト」は日本のiOSでは提供しないと表明している。
スウィーニー氏はXで、アップルはiOSの開放を求められながら誠実に対応しておらず、日本政府と国民を軽視していると批判した。他社が同様の対応をすれば大きな問題になるはずだが、アップルは競合の取引を厳しく管理する仕組みを、規制対応として正当化していると指摘した。
一方、アップルは、日本向けの新たな仕組みを利用するには、開発者が2026年3月17日までに最新版の「アップル開発者プログラム使用許諾契約」に同意する必要があるとしている。
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