中国で国民全員が使う中国発アプリ、ウィーチャット(微信)。海外のSNSが使えないため、中国国内との連絡手段は事実上これに限られる。
そしてウィーチャットは単なる連絡手段ではない。メッセージや通話に加え、支払い、仕事、役所の連絡まで担う生活インフラで、日本語版もある。中国国内とやり取りする必要がある日本人も、利用せざるを得ない状況に置かれている。
このウィーチャットをめぐり、2026年1月から施行される中国の新しい治安管理処罰法で、わいせつ情報を送った場合、1対1の個人チャットでも処罰の対象になると明記された。
しかし問題の本質は別にある。
誰にも見せていないはずの個人チャットが、当局に把握される可能性を前提に法律が作られている点だ。これは、私的な会話であっても安心できないことを意味する。
実際、ウィーチャットに監視機能があることは以前から指摘されてきた。2020年5月、カナダの研究機関 Citizen Lab は、ウィーチャットが文章や画像の内容を自動的に分析し、敏感と判断された情報を監視・検閲しているとする調査結果を公表している。
さらに2023年には、中国の元ネットワーク安全技術者が、利用者のデータが24時間体制で収集され、数分おきにデータセンターへ送られていると証言した。
これらの調査や証言から分かるのは、ウィーチャットの監視は以前から行われており、今回の法改正はそれを公式に裏付けたという点である。
重要なのは、これは中国国内だけの話ではないということだ。中国の人と連絡を取るためにウィーチャットを使っている日本人も、この監視の仕組みの中にいる。日本にいながら使っていても例外ではない。
つまり、ウィーチャットでは、友人との何気ない会話も、すでに聞かれている。
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