トランプ米大統領 処方薬価格引き下げ柱に医療改革案

2026/01/16 更新: 2026/01/16

トランプ米大統領は1月15日、医療費の負担軽減を目的とする新たな医療政策案を発表した。価格交渉の導入や競争の促進、価格の透明化などの市場改革を通じて、医療費の引き下げを図るとしている。

「グレート・ヘルスケア・プラン」と名付けられたこの政策には、政権がすでに導入した施策や、現在実施を進めている措置が盛り込まれている。大統領令や連邦規制による対応ではなく、連邦法として制定されれば、法的な拘束力が強まり、将来の政権でも維持される可能性が高いとされる。

トランプ氏は動画声明で、「大企業や特定の利益団体を優先するのではなく、この計画は国民を第一に考え、家計の負担を軽減するものだ」と述べ、議会に対し法制化を求めた。

処方薬価格の引き下げ

トランプ政権はこれまで、「最恵国待遇方式」と呼ばれる処方薬価格制度の下で、15社の製薬会社と交渉し、低所得者向け公的医療保険制度「メディケイド」の利用者向けに薬価の引き下げを実現してきた。

この制度では、製薬会社に対し、メディケイド利用者に最も低い価格で薬を提供することを求めるほか、一部の医薬品をアメリカの患者に直接、より低価格で販売すること、新薬をアメリカ市場に投入する際には最安値で提供することを求めている。また、他の先進国での高い薬価によって得られた収益を、アメリカ経済に再投資することも求めている。

この政策は、長年にわたりアメリカより低い薬価が設定されてきた他の先進国との価格差を縮小することを目的としている。

メディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)の管理者であるメフメット・オズ医師は、薬価の引き下げは、薬代の削減にとどまらず、より大きな医療費削減効果をもたらすと指摘した。

オズ氏は1月15日、記者団に対し、「高血圧や糖尿病に関連する肥満の合併症を減らし、その結果として起こる心臓発作や腎不全、脳卒中、認知症、肝疾患などを抑制できれば、新薬への投資を正当化できるほどの医療費削減につながる」と述べた。

トランプ氏は、政権下ですでに締結された既存の合意を維持するための経過措置を設けた上で、この制度を法律として制定するよう議会に求めている。

また同計画では、安全性が確認された医薬品について、処方箋なしでの販売を拡大することも盛り込まれており、競争の促進や医師の診察費用の削減を通じて、さらなる価格引き下げが期待されている。

消費者への直接給付

トランプ氏の医療政策案は、医療費購入に対する連邦政府の支援を、保険会社を通じて提供するのではなく、消費者に直接届けることを重視している。

これは、オバマ前大統領が導入した医療保険制度改革法(通称オバマケア)と対照的だ。オバマケアでは、消費者に付与される税額控除が医療保険会社に直接支払われる仕組みとなっている。共和党は、こうした制度について、インフレを助長する恐れがあるほか、不正の温床になり得ると主張してきた。一方、民主党はこれらの補助措置を恒久化すべきだとしている。

ホワイトハウスの報道官は1月15日、記者団に対し、「大統領は、こうした考え方では医療制度の問題を捉えるにはあまりに狭いと考えている。そのため、オバマケアに限定されない、より幅広い形でアメリカの患者の医療費負担を軽減する方策を打ち出している」と説明した。

2025年12月に失効したオバマケアの拡充補助金の延長に代わり、政府資金を充てた医療貯蓄口座(HSA)を導入する案は、上院で前進しなかった。

現在、超党派の上院議員グループが、補助金の延長と不正防止を両立させる妥協案の策定に引き続き取り組んでいる。トランプ氏の計画を受け、アラスカ州選出のリサ・マーカウスキー上院議員(共和党)は、拡充補助金の延長を断念しない考えを示した。

マーカウスキー氏は1月15日、記者団に対し、今年の医療保険料が急上昇していることに言及した上で、「私たちは、今まさに直面している差し迫った状況に対応しなければならない」と語った。

価格の透明化

トランプ氏の計画では、保険料や補償内容の比較を分かりやすい言葉で説明する「プレーン・イングリッシュ保険基準」を導入し、医療保険会社に対して、消費者への情報提供を強化することを求めている。

保険会社は、自社の公式サイト上で、保険料収入のうち保険金支払いに充てられている割合、保険金請求の却下率、通常の医療を受けるまでの平均待機時間などを公表することが義務付けられる。

また、メディケアやメディケイドを受け入れている医療機関は、患者が確認できるよう、院内の目立つ場所に診療費や各種料金を掲示することが求められる。

ホワイトハウスによると、こうした透明性の向上は、個人だけでなく、医療保険の最大の購入主体である雇用主の選択にも影響を与えることで、医療費の引き下げにつながるという。

ホワイトハウスの報道官は、「大手雇用主は、より有利な価格交渉を行うために、明確な情報を切実に求めている。彼らは制度の中で、最も強い動機を持つ存在だ」と述べた。

第1次トランプ政権は2019年、病院に対し、医療費を一般に公開するよう義務付けたが、実際の履行状況や取り締まりは限定的だった。

トランプ政権は2025年12月、価格透明化に関する新たな規則案を提示している。

エポックタイムズの政治記者
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