張又俠秘密書簡が波紋 専門家「内容は虚偽でも体制の危機は実在」

2026/01/30 更新: 2026/01/30

近日、張又俠が習近平に宛てて書いたとされる秘密書簡が、ネット上で急速に拡散している。この書簡では、張又俠が自身の汚職疑惑を否定し、拘束された真の理由は習近平との根本的な対立にあると主張。また、習近平による高度な権力集中を批判している。さらに書簡では、三中全会の場で習近平が実際に健康上の問題を起こし、その結果、権力を奪われたとも記されている。書簡の内容は体制内部の実情と一致しているものの、必ずしも張又俠本人が書いたとは限らず、中国共産党(中共)内部の権力闘争が激化した中で生まれたものと見る向きが強い。

書簡の主な内容は、張又俠が拘束された真の理由は汚職や違法行為ではなく、中央軍事委員会主席責任制の解釈をめぐる習近平との根本的な対立にあるというものだ。張又俠は、習近平がこの制度を「家長制」に変質させ、過度に権力を集中させ、細部に至るまで軍事に介入していると批判している。

書簡では、台湾への武力統一の時期、ロシアとの戦略協力の深度、軍幹部の急速昇進の基準など、複数の重大な対立点が挙げれている。特に、三中全会前に、習近平がロシア・ウクライナ戦争に乗じて台湾を攻撃しようとしたものの、張又俠がこれに反対し、その結果、習近平が激昂して発病して入院、会議が中断寸前に追い込まれたとする内容も含まれている。

分析では、秘密書簡の内容は中共体制内部の実情と概ね符合しているものの、書簡が張又俠本人の手によるものかどうかについては、強い疑念が残るとされている。

独立系の時事評論家で、遠見快評ブロガーの唐靖遠氏は、「この書簡は、中共最高指導部における習近平政権の意思決定や、彼らの間の権力闘争、さらには重要な政策上の対立にまで言及している。これらの内容自体は、私の見るところ、全体として概ね事実に近い。特に、三中全会で習近平が突発的な脳卒中を起こし、その結果、張又俠と元老たちが連携して一時的に局面を掌握し、習近平の軍権を接収したとされる情報も、現実の状況と合致している」と述べている。

一方で、この書簡は捏造されたとする見方もある。文言や語調、内容を踏まえると、事後的に張又俠を擁護・釈明し、張又俠にはそれほど大きな野心はなかったと位置づける意図がうかがえるという。

また別の評論では、反習派が張又俠に関する実際の内部事情を利用し、世論の関心を引きつけることで、中共内部の権力闘争を暴露し、習近平の権力基盤を弱体化させようとしているとの見方も示している。

大紀元コラムニストの王赫氏は、「張又俠には、そもそもそのような動機、つまり野心はなかった。この書簡の最大の価値は、その点を非常に明確に示していることだ」と語っている。

唐靖遠氏はさらに、「書簡を公表した人物の真の目的は、張又俠と習近平の間の確執を明らかにすることにある。こうした手法を用いて、習近平による張又俠拘束の正当性を否定し、ひいては現在の習近平の権力地位そのものの正当性を揺さぶろうとしているのだ」と分析している。

この書簡が胡錦濤に言及している点にも注目が集まっている。これは、張又俠と劉振立が拘束された後も、習近平が軍権や中南海全体の政局を完全には掌握していないことを示す、もう一つの重要なシグナルだとしている。

唐靖遠氏は、「この書簡は非常に敏感な政治的シグナルを発している。すなわち、習近平は張又俠と劉振立を拘束したが、軍を完全に掌握してはいないし、中南海全体の政局を本当に支配しているわけでもない。実際に、現在の中共には二つの『中央』が存在している。一つは習近平政権の中央、もう一つは反習派が習近平の権力の相当部分を奪ったという中央である。現在、この二つの『中央』が内部で生死を懸けた権力闘争を繰り広げている」と指摘した。