中国軍機関紙 粛清後の忠誠を強調 軍の安定性に疑問符

2026/02/03 更新: 2026/02/03

中国の軍機関紙は、最近粛清された2人の最高位の将軍に対する公の批判を再燃させた。兵士に対し、両名の調査を支持し、指導者である習近平への忠誠を誓うよう促している。アナリストらは、この動きが中国共産党(中共)軍内部で高まる不安を裏付けるものだと指摘している。

1月31日付の『解放軍報』の1面社説は、張又侠(元中央軍事委員会副主席)と劉振立(同委員)に対する調査を、中共による反腐敗運動の「大きな勝利」と表現した。記事は、軍全体の将校および兵士に対し、党指導部を「断固として支持」し、習近平と「高度な一致を維持する」よう求めている。

2人の将軍が公式に解任されてから数日後に出されたこのメッセージは、ここ数年で最も劇的な軍の粛清を経て、北京当局が軍内の異論を抑え込むのに苦慮しているのではないかという疑問をアナリストの間に抱かせている。

異例の2度目の糾弾

1月24日、張と劉が調査を受けていることが発表された。同日夜、『解放軍報』は痛烈な社説を掲載し、軍を党指導者の直接の権限下に置く制度を深刻に損なったとして両名を非難した。この政治的な罪状は広く注目を集めた。

その後、官営のプロパガンダメディアは沈黙を保っていたが、1月31日の記事は、両名の名前を繰り返し挙げ、彼らの事件を主に腐敗の観点から位置づけるという、異例の2度目の公的批判となった。

社説は、今回の調査が反腐敗運動において「容赦しない」姿勢を示すものであると強調。最後には、軍が習近平の指揮に従い、習近平に対して責任を負うべきだと要求して締めくくられている。

アナリストが指摘する動揺の兆候

台湾の国防安全研究院の沈明室研究員は、『大紀元時報(エポックタイムズ)』に対し、これほど強い言葉が使われるのは、粛清後に軍内で士気の問題が生じている可能性を示唆していると語った。

「中国共産党は、自分たちに欠けているものを強調する傾向がある。軍機関紙が数日後に再び攻撃を仕掛けざるを得なかった事実は、軍内部の不安定さ、さらには抵抗の存在を示している」と沈氏は分析する。

2人の将軍の当初の粛清に続き、内部関係者は、中央軍事委員会が体制の政治的安定を守るために「準戦時」レベルの内部統制を実施していることを明らかにした。沈氏は、今回のプロパガンダの強化は、軍内に長年勤務し影響力を持つ張又侠に同情的な部隊が残っていることへの懸念を反映している可能性があると述べた。

沈氏によれば、習近平は軍機関紙を利用して「決着がついた」というイメージを投影しようとしている。つまり、張と劉が復活するチャンスはないという信号を送ることで、さらなる異論を抑止し、統制を再確立しようとしているのだ。

反腐敗か、それとも政治粛清か

複数のアナリストは、腐敗という名目は、根本的な政治闘争を隠蔽するためのものだと指摘している。

1月24日の社説では、張と劉はまず政治的な罪、具体的には習近平が務める中央軍事委員会主席の権威に挑んだことで非難されていた。対照的に、1月31日の記事は、具体的な容疑や証拠を示すことなく、ほぼ全面的に腐敗に焦点を当てている。

「腐敗は、彼らに関連する人物を排除するための万能なラベルとなる。これが政治粛清のやり方だ」と沈氏は言う。

同じく国防安全研究院の研究員、蘇紫雲氏は、今回のメッセージは中国指導部内の深い不安心理を露呈していると指摘する。

「『腐敗に打ち勝ち、強軍化は成功する』というスローガンは、実際には共産党の焦燥感を浮き彫りにしている。我々が目にしているのは、共産党の政治的・軍事的な崩壊の初期段階かもしれない」と蘇氏は述べた。

蘇氏は、中共軍内の腐敗は根深く、1990年代の江沢民時代に軍部隊の営利活動を認めた政策にまで遡ると指摘。習近平は反腐敗運動を利用して軍の統制を強めてきたが、今やそれをやりすぎている可能性があるという。

「軍内部の人々は、これが政治的な『浄化』であることを理解している。それを正当化しようとしても士気は回復せず、むしろ崩壊させるリスクがある」

広がる政治的シグナル

こうした動きは、北京からのより広範な政治的メッセージの中で起きている。新華社通信によると、1月30日、中共の最高意思決定機関である政治局常務委員会は会議を開き、「集中的かつ統一された指導」を堅持する必要性を強調した。

米国を拠点とする中国時事評論家の王赫氏は、この強調は粛清後の習近平の権威を補強することを目的としたものだろうと語った。

蘇氏は、習近平の妥協のない姿勢が危険な結果を招く可能性があると警告した。粛清が続けば、士気が低下し、指揮系統が混乱し、危機に際して軍が十分な準備を整えられないリスクがあるという。

「もし習近平が軍事的冒険主義の道を選んだとしても、彼を制止できる者は誰も残っていないかもしれない。同時に、そのような行動を効果的に実行できる人材が不足していることに気づく可能性もあり、失敗の確率は高まるだろう」

バックラッシュのリスク

張と劉の解任後の数日間、軍が習近平の決定を支持する集団的な声明を出すことはなかった。大紀元時報が軍の公式サイトを調査したところ、北京の警備を担当する部隊を含む複数の部隊が、代わりに「習近平の強軍思想」に焦点を当てた政治学習セッションを強化していることが分かった。

沈氏は、1月31日の記事はこうした思想教育キャンペーンをサポートするために作成されたようだと述べる。しかし、腐敗の明確な証拠がないまま強引な政治教化を行えば、逆効果になる可能性があると警告した。

「一時的には機能するかもしれないが、反動が起きた時、それはより強力なものになるだろう」

中共軍に近い内部関係者が大紀元時報に語ったところによると、調査開始後に中央軍事委員会が出した複数の指示に対し、末端レベルで広範な抵抗が起きている。内部関係者によれば、主要な戦区に送られた少なくとも2つの文書が執行されておらず、軍の指揮系統に機能不全の兆候が現れている。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。