中国全人代 粛清対象の将軍への処分見送り 習の軍掌握力に疑念の声 =内部情報

2026/02/10 更新: 2026/02/10

中国共産党(中共)の「ゴム印(追認機関)」に過ぎない全人代は今月、密かに数名の代表(議員)からその資格を剥奪したが、すでに失脚が公表されている2名の軍高官に対する措置は回避した。この不自然な不作為は、軍に対する習近平の権威に対し、内部で抵抗が起きているのではないかという疑問を呼び起こしている。

2月4日、中国の国営新華社通信は、中国の国防産業部門出身の全人代代表3名について、代表資格の終了を発表した。

しかし、全人代は、1月24日に調査が公式発表された張又侠と劉振立という2名の軍高官の地位については言及しなかった。公開記録によれば、両氏は依然として解放軍・武装警察代表団の全人代代表としての議席を維持している。

この決定、あるいは決定の欠如は、過去の粛清時における慣例通り、追認機関である全人代が速やかに政治的追放を正式なものにするだろうという広範な予測に反するものだった。

資格を失った3名の代表(周新民、羅琦、劉倉理)は、いずれも中国の軍事産業複合体で長いキャリアを積んできた人物である。

周は中国航空工業集団の董事長兼党組書記を歴任。羅は中国工程院の院士であり、中国核工業集団の元総工程師(チーフエンジニア)である。劉は中国科学院の院士で、同国最高の核兵器研究機関である中国工程物理研究院を率いた経歴を持つ。

これら3名は機密性の高い防衛技術に深く関わっているものの、軍の指揮系統の中核を担う立場にはなかった。分析によれば、この事実は、政治的に最もデリケートな標的を避けるという「選択的なアプローチ」が取られていることを浮き彫りにしている。

将軍の解任案が阻止される

報復を恐れて「金哲(ジン・ジェ)」という仮名で取材に応じた党内部関係者が大紀元(エポックタイムズ)に語ったところによると、軍側は全人代に対し、張又侠と劉振立の代表資格を取り消すよう求める提案書を提出し、正式な承認を求めていたという。

金氏によれば、もしそのような提案が検討のテーブルに載っていなかったのであれば、そもそも特別に常務委員会を招集する理由はほとんどなかった。全人代は今月後半に定例会議の開催を予定しているからだ。

この提案が可決されなかったという事実は、中国共産党の政治階層のトップにおける調整機能の崩壊を示唆しており、習近平と全人代を統括する趙楽際との間に摩擦が生じている可能性を指し示している。

もしこれが事実であれば、重大な人事案件において全人代が習の政治的アジェンダと一致しなかった極めて珍しい事例となる。

同じく仮名で取材に応じた本土の憲法学者、黄天氏は、全人代常務委員会は代表の資格処理において広い裁量権を持っているものの、今回のパターンは政治的に異例であると指摘した。

「形式上、特定の代表の資格を選択的に終了させることは手続きに違反しない」と黄氏は言う。「しかし実質的には、周辺的な人物だけを処理し、意図的に核心的な標的を避けるというのは、システムが正常に機能している時のやり方ではない」

過去の腐敗防止キャンペーンや軍の粛清では、将軍級の幹部が正式に調査対象となれば、全人代代表の資格剥奪は通常、形式的な手続きに過ぎなかった。

今回の件が際立っているのは、張又侠と劉振立の調査発表の直後に全人代常務委員会が開催されたにもかかわらず、両氏のケースについて何ら行動を起こさないことを選択した点にある、と黄氏は述べた。

「もし指導部が決断を下すには時期尚早だと判断していれば、通常、その問題は最初から議題にすら上がらない。会議を招集しておきながら、最も中心的な人物を意図的に棚上げにするという前例はほとんどない」

報復の懸念から「何(カー)」という姓のみで取材に応じた別の中国人学者は、全人代の「不作為」は一つの政治的シグナルであると語った。

「これは、軍の権威と組織統制という鍵となる問題について、最高指導部内でまだ合意が形成されていないことを示している」

何氏によれば、張と劉の地位が解決されていないことは、全人代が突如として独立性を主張し始めたというよりは、中央軍事委員会(CMC)内での習による権力固めの試みが障害に直面している証拠であるという。

中央軍事委員会の沈黙

1月24日以降、全人代以外でも異常な兆候が見られる。中国の公式チャンネルは、中央軍事委員会の会議や集団活動、あるいは軍高官レベルの公務について一切報じていない。解放軍報のウェブサイトも、中央軍事委員会の日常業務に関する報道を停止したままだ。

2月6日、共産党の広報機関である人民日報は「常に兵士の福祉を心に留めて―習近平主席の深い慈しみ」と題した記事を掲載した。この記事は、習による過去の部隊視察や兵士への配慮といった回顧的で情緒的な物語に終始しており、現在の軍の意思決定や指揮活動に関する情報は皆無であった。

このコントラストは、中国共産党の軍事統治における不透明な現実を際立たせている。

現在に至るまで、張と劉に関する公式な評決は下されていない。中央軍事委員会の運用状況、そしてそこにおける習の権威の行方は、依然として不透明なままである。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。