中国軍が2025年4月から施行した新たな内部規定では、退役軍人に求める誓いの文言として「戦争があれば必ず招集に応じる」と明記した。台湾有事をにらみ、退役軍人にも再び銃を取る覚悟を求める内容だ。
しかし、SNS上では「なぜ生活も保障されないのに命を差し出せというのか」といった投稿が相次ぎ、招集に否定的な態度を示す退役軍人が後を絶たない。
本紙がこれまで直接取材してきた複数の退役軍人も、口をそろえて退役後の厳しい現実を語った。
四川出身の元兵士は8年間軍に所属したが、退役後は安定した職に就けなかった。建設現場や警備の仕事を転々とし、生活は不安定なままだという。「軍にいたときは国に尽くせと言われ、辞めたら自己責任。これでは納得できない」と語った。
別の退役軍人は、「再招集に応じろと言う前に、約束した措置や補償をきちんと実行すべきだ」と話す。彼らが訴えるのは特別な優遇ではない。退役時に説明した就職あっせんや年金、傷病手当が、約束通りに実施されていないという不満だ。
近年、中国各地では退役軍人による陳情や抗議が繰り返し起きている。補助の少なさに失望する動画や、窓口での対応に絶望する様子も拡散した。今月にも北京で、退役軍人の陳情窓口前で元兵士が木に登り、自殺を図ろうとする騒ぎが起きた。
政府は2018年に退役軍人事務部を設け、支援体制の強化を掲げてきた。しかし、経済減速と地方財政の悪化のなかで、現場では「形だけだ」と感じる声も少なくない。
兵士には命を懸ける覚悟を求めながら、退役後の生活は十分に守られていない。この落差は、いま制服を着ている若い兵士にとっても他人事ではない。誇りを持って軍を去った人々の怒りは、消えずに残っている。
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