「若い兵士のみなさん、汚職官僚の手先にならないで!」
中国共産党当局は、長年にわたり退役軍人に「老後の住まい」として配分してきた住宅について、その約束を覆し、いまになって現役の「部隊宿舎」と再定義して退去を求める強制回収を進めている。
突然の方針転換に対する抗議は全国各地で相次ぎ、5日には上海にある海軍関連の社宅に住む退役軍人家族と、鎮圧に動員されたとみられる若い兵士らの一団が衝突した。
現場映像には、抗議する退役軍人の家族と、治安部隊や現役軍人らとされる若者らが、緊迫した状態で対峙する様子が映っていた。
(現場の様子)
住民の女性は拡声器で訴えた。
「若い兵士のみなさん、汚職官僚の手先にならないで!」
別の男性も声を張り上げた。
「あなたたちが向き合っている相手は、自分たちより先に国に仕えた先輩だ!こんな扱いをする国はどこにもない、ひどすぎる!」

映像では、青い服にマスク姿の若者らが退役軍人の家族らを押し返しており、家族らは彼らを「現役兵」と指摘する。
もみ合いの中でマスクが外れた若者が、とっさに顔を手で覆い後方へ下がり、別のマスクをつけ直す様子も記録されていた。

双方が衝突する場面も見られ、前列の家族らが転倒。「押すな!」「危ない、踏まれるぞ!」と叫び声が上がり、雑踏事故のような危険もあった。
さらに、警察車両が団地内へ進入しようとした際、家族らが身を投げ出して進路をふさぐ場面も映っている。


今回の映像は中国国内では閲覧が難しいとみられるが、海外のSNSでは相次いで共有されており、
「大先輩を排除する任務を若い兵士に負わせてよいのか」
「なぜ彼らは身元を知られまいと必死に顔を隠したのか」
といった声が広がっている。

本来、退役軍人の家族の排除やデモ対応は武装警察など治安部隊の役割であり、軍(現役兵士)は国内の市民排除に動員される存在ではない。
こうした状況が続けば、市民の反発だけでなく、若い兵士やその家族の受け止め方、さらには軍内部の士気にも影響を及ぼしかねないとの懸念が出ている。

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