中東戦争でホルムズ海峡緊迫 中国の石油供給に直撃

2026/03/06 更新: 2026/03/06

イラン革命防衛隊の関係者は、ホルムズ海峡がすでに封鎖されており、通過を試みる船舶には攻撃を行うと発表した。ホルムズ海峡は世界で最も重要な石油輸送路の一つで、中国の原油輸入の約3分の1がこの海峡を通過している。衝突によって海峡の封鎖が長期化すれば、関連産業の存続にも深刻な影響が及ぶ可能性がある。

2026年初め、中東情勢の急激な緊張は世界のエネルギー市場を大きく揺るがしている。

アメリカとイスラエルはイランに対して共同攻撃を実施した。これに対しイランは、ホルムズ海峡の通航を全面的に管理すると宣言するとともに、海峡を通過する船舶への攻撃を開始した。

ホルムズ海峡はイランとオマーンの間に位置する狭い海上交通路で、世界の原油とLNGの約5分の1がここを通過する。中国の原油輸入の約3分の1もこの海峡を通っている。

2024〜2025年の税関データによると、中国の原油輸入先上位5か国にはサウジアラビアやイラクなどの中東諸国が含まれ、合計で中国の原油輸入量の40%以上を占めている。しかし中国の中東原油への依存は、単に供給国の割合だけでなく、輸送ルートの脆弱性にも大きく左右されている。

大紀元コラムニストの王赫氏は次のように分析する。
「今回の戦争によってイランの石油輸出はほぼ停止している。しかし中国にとって最大の問題はそれではない。最大の影響は、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性だ。中国が輸入する中東原油の40%以上はホルムズ海峡を通過しており、これが遮断されれば中国経済への打撃は非常に大きい。したがって今回の中東戦争が中国の石油輸入にどの程度影響するかは、イランがホルムズ海峡をどの程度支配し、どの程度妨害するかにかかっている」

中国の戦略石油備蓄は現在、国内消費をおよそ75日間支える規模と推計されている。ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、エネルギー価格の急騰や輸入インフレを招き、関連産業にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。

一方、台湾海峡上空では中共軍機による「グレーゾーン活動」が異例の静けさを見せている。専門家は、この軍事活動の変化が中共内部で高まるエネルギー供給への不安を反映している可能性があるとみている。

台湾国防安全研究院の沈明室研究員は「ここ数日、中国の軍用機は台湾海峡上空での嫌がらせ飛行やグレーゾーン活動を行っていない。中国自身がエネルギー供給への影響を感じ始めている可能性がある。イランでの衝突や戦争は短期間では解決しそうにない。アメリカは軍事行動が少なくとも4週間続くとしている。この状況では中国のエネルギー供給は確実に影響を受ける。ただ、中国がイランに圧力をかけてこの問題を解決できるかどうかは非常に疑わしいだろう」と分析した。

国連安保理の常任理事国として、中共は制裁の延長阻止や外交的非難への対応などにおいて、イランにとって国際社会で数少ない強力な後ろ盾となってきた。中共はインフラ整備やエネルギー分野への段階的な投資を通じて、イランが重要な政策決定を行う際に北京の利益を考慮せざるを得ない状況を作ってきた。ホルムズ海峡もその一例とされる。

ブルームバーグが3月3日に報じたところによると、中国向けエネルギー輸入を守るため、中共はイランに対し、タンカーやLNG輸送船を攻撃しないよう水面下で圧力をかけているという。

王赫氏は「今回の戦争ではイラン政権そのものが崩壊の危機に直面している。その状況下で、中共はイランに実質的な資源支援を提供することもできず、米国とイスラエルの軍事攻撃を実質的に牽制することもできない。この観点から見れば、中共はイランに対する外交的影響力をほぼ失っていると言える」と指摘した。

中共はイラン石油の最大の買い手であり、理論上はイランの政策決定に影響を与えるカードを握っている。しかし政権の存亡がかかった戦争状況の下では、この「バイイング・パワー」は急速に弱まりつつある。

沈明室研究員は次のように語る。

「現在のイランは戦争の渦中にあり、さらにイラン北西部ではクルド勢力が国内に侵入し、地上作戦を展開している可能性がある。場合によってはテヘランへ進軍する可能性もある。そうなればイランの状況はさらに深刻になる。もはやイランにはホルムズ海峡のタンカー問題に対処する時間もリソースも残されていないだろう。各国のタンカーも、その場で状況が落ち着くのを待つことになるだろう。中共がイランに圧力をかけても、この情勢が変わるとは思えない」

沈氏は、ペルシャ湾からの供給が途絶した今、中共に残された唯一の活路は「代替供給の確保」だとみている。

「中国が取り得る代替策は、他の国から石油を購入することだろう。しかし多くの民主主義国家は中国と緊急調達契約を結んでいるわけではない。そのため緊急供給を得るには交渉が必要になる。さらに現在は戦争によって石油供給が逼迫しており、世界各国が石油確保を競っています。中国が必要な石油を確保できるとは限らない」

今後数週間、あるいはそれ以上の期間、中国経済はイランがホルムズ海峡でどの程度妨害行為を行うかに大きく左右されるとみられる。中共当局が軍事力によって航路の安全を確保することも、外交的にイランの極端な行動を抑制することもできない場合、それは「大国の台頭」を掲げる中共政権にとって深刻な戦略的打撃となる可能性がある。

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