英国の当局は3月20日、侵襲性髄膜炎菌感染症の症例がさらに報告されたことを受け、学生へのワクチン接種と抗菌薬投与の取り組みを拡大した。
英国保健安全保障庁(UKHSA)は、3月19日正午の時点で、確定症例18例と疑い例19例の報告を受けていると発表した。これは前日から2例の増加となる。
今回の流行ですでに確認されている2人以外の新たな死亡者は報告されておらず、患者は全員入院中である。
ケント州議会の公衆衛生局長であるアンジャン・ゴーシュ博士は、会見で記者団に対し、髄膜炎菌感染症には潜伏期間があるため、流行が抑え込まれたかどうかを判断するのは時期尚早であると述べた。
この炎症性疾患(髄膜炎および敗血症)は髄膜炎菌によって引き起こされる。症状には発疹、発熱、嘔吐などがある。今回の流行は3月上旬、イングランドのケント州で始まった。
当局はこれまで、一部の個人に対して予防的な抗菌薬とワクチンの提供を行ってきた。3月19日、当局は抗菌薬の投与対象を拡大すると発表した。対象となるのは、3月5日から15日までにケント州のクラブ「ケミストリー(Chemistry)」にいた人々、疑い例や確定症例の濃厚接触者、および症例が確認されたケント州内の学校やカレッジに通うシックス・フォーム(12年生および13年生)の学生である。
当局はまた、予防的抗菌薬の提供を受けた人々に対してもワクチン接種を拡大している。
UKHSAの最高責任者であるスーザン・ホプキンス氏は声明で、「予防的抗菌薬を提供されたすべての人にワクチン接種プログラムを拡大することで、感染の可能性が最も高い人々を保護するための重要な追加措置を講じている。メッセージは単純だ。抗菌薬を服用したなら、ワクチン接種の資格もあるということだ」と述べた。
UKHSAによると、今回の流行期間中に約2360回のワクチンと9千回分以上の抗菌薬が投与された。地元メディアの映像では、ワクチンセンターの外に学生が列を作る様子が映し出されている。
菌株の特定
UKHSAは3月20日、ケント州で流行している髄膜炎菌の遺伝子解析の結果、B群髄膜炎菌に属する型であることを特定したと発表した。

同様の菌株は、過去5年ほど英国全土で拡大している。
UKHSAは「現在ケント州で提供されているベクセロ(Bexsero)ワクチンが、特定された菌株に対して保護効果を示すことが確認された」と述べている。
グラクソ・スミスクライン社製のB群髄膜炎ワクチン「ベクセロ」は、B群菌による疾患の予防のために投与される。
このワクチンは2015年から乳児への接種が推奨されているが、当局によれば、ケント州の多くの学生は接種を受けていない可能性があるという。
3月14日に18歳で髄膜炎により亡くなったジュリエット・ケニーさんは、ワクチンを接種していなかったと家族が明かしている。英国の慈善団体「メニンジティス・リサーチ・ファンデーション(髄膜炎研究財団)」によると、親族はワクチンがケニーさんの命を救えたかどうかは分からないとしつつも、他の人々がワクチンを利用できるようにすることを望んでいるという。
遺族はインタビューには応じず、静かに喪に服したいと述べている。
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