中国発 外国人標的の詐欺事件が急増=米中経済安全保障調査委員会

2026/03/26 更新: 2026/03/26

米中経済安全保障調査委員会(USCC)は3月、米国民を中国共産党(中共)関連の詐欺拠点から保護することに関する報告書を発表し、中国の犯罪組織が詐欺活動のグローバル化を推進しており、外国人を専門的に標的とする詐欺が存在することを指摘した。

五つのトレンド動向

米中経済安全保障調査委員会が3月に発表したこの中国詐欺被害に関する報告書は、「米国民の中国関連詐欺拠点からの保護:新興トレンドに関する最新動向(rotecting Americans from China-Linked Scam Centers: An Update on Emerging Trends)」と題されている。報告書は主に五つの内容を収集・分析・論述している。

報告書はまず、中国の犯罪集団が東南アジアで運営する産業規模の詐欺センターが米国民にもたらす損害が拡大し続けていることを指摘した。米国政府の推計によれば、2024年に米国民が東南アジアの詐欺活動によって被った損失は少なくとも100億ドルに達し、2025年の損失額はさらに増大すると見込まれている。

第二に、米国側の対策と責任追及に対し、中国の犯罪組織は迅速に適応し、米国の規制・取り締まりが及ぶ前に制裁を逃れようとしている。ここ数か月、米国政府は東南アジアの詐欺センターから米国民を保護するための複数の措置を講じてきた。具体的には、犯罪首謀者への制裁や、省庁横断型の「詐欺センター撲滅タスクフォース」の設立などが含まれる。しかし注視すべきは、中国の犯罪組織が戦略を迅速に調整し、規制の取り締まりが及ぶ前に制裁を逃れようとしていることである。彼らは先端技術を採用し、暗号資産(仮想通貨)を利用して窃取した資産を国境を越えて移転しており、その行為はほぼいかなる実質的処罰も受けていない。

第三に、中国の各種詐欺センターが人工知能を利用して詐欺を実行している。報告書はフロリダ州在住のシャロン氏の被害事例を挙げた。

2025年7月のある日、シャロン氏は電話を受け、娘の焦った声で、交通事故に巻き込まれて警察に拘束されており、保釈金として1万5千ドルが至急必要だと告げられた。シャロン氏は「誰に何と言われても、あれが娘の声ではないとは絶対に信じられなかった。娘が泣いているときの声を私はよく知っている」と語った。

しかし実際には、詐欺犯がAIベースの音声クローン技術を使って娘の声を精密に複製していた。これらの音声素材は、娘がソーシャルメディアに投稿した音声クリップに由来する可能性が極めて高いと推測されている。

第四に、中国共産党が東南アジアの詐欺センターに対して「選択的取り締まり」戦略を採っていることを背景に、多くの犯罪者が中国本土に回帰し、国内に比較的小規模な詐欺拠点を設けて、国外の人間を専門的に標的とする詐欺を行っている。中国国内では外国人を騙すことを「殺洋盤」と呼んでいる。これは従来の「殺豬盤(豚の屠殺型詐欺)」から派生したもので、主に外国人を標的としている。

中国共産党の「選択的取り締まり」戦略について、米中経済安全保障調査委員会は2025年7月に「中国(中国共産党)による東南アジア詐欺拠点の利用(China’s Exploitation of Scam Centers in Southeast Asia)」と題する報告書を発表し、中国の犯罪集団が運営する詐欺拠点が毎年米国民から数十億ドルをいかに騙し取っているかを分析した。委員会は、北京当局が深刻化する詐欺拠点問題を利用していることを明らかにした。これらの拠点は東南アジア各地に蔓延し、少なくとも中共政府内部の一部勢力の黙認的支持を得ており、当局はこれを同地域における安全保障上の影響力拡大に利用している。

フェンタニル危機と同様に、中国の犯罪ネットワークは米国民に甚大な被害をもたらしているが、中共当局は自らの利益に合致する場合にのみ選択的に法執行措置を講じているにすぎない。

最後の点として、中国の犯罪組織は詐欺活動のグローバル化を推進している。太平洋島嶼国、南アジア、中東、および西アフリカなどの地域で、新たな詐欺センター群が相次いで出現している。中共は東南アジアで常用してきた戦略パターンを踏襲し、詐欺センターのグローバルな拡散を契機として、その安全保障上の勢力と影響力を上記各地域にさらに浸透・拡張させている。

米国側の対応措置

米国政府はこの種の中国詐欺集団に対応するため、複数の措置を講じてきた。

2025年9月、米国財務省はミャンマーおよびカンボジア国内の主要詐欺拠点の背後にある多数の団体および個人に対して制裁を実施した。2025年10月、米国は英国と連携して「プリンス・グループ(Prince Group、太子集団)」に対し協調制裁を実施した。同グループはカンボジア全土で大規模な詐欺センターを運営する多国籍犯罪組織である。同時に、米司法省はプリンス・グループの黒幕である陳志(チェン・ジー)を起訴し、約150億ドル相当のビットコインを差し押さえた。これは米国史上最大規模の資産差し押さえである。

米国司法省による陳志の起訴状は、これらの詐欺拠点の運営における中共当局者の共謀的役割を示す新たな証拠も明らかにした。プリンス・グループは中共の公安部および国家安全部の当局者に賄賂を贈り、庇護や強制捜索に対する事前警告を得ていた。陳志とその共犯者らは、中共当局者との深い関係によって取り締まりを免れることができると頻繁に誇示していた。

2025年11月、米国司法省は省庁横断型の「詐欺センター撲滅専任部隊(Scam Center Strike Force)」の設立を発表した。同部隊は、中国の犯罪組織が東南アジア地域で実行する各種詐欺活動の取り締まりを専門的に担当する。

李思齊
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