高市首相 エネルギー供給網強化へ 「パワー・アジア」発足 100億ドル支援を表明

2026/04/16 更新: 2026/04/16

日本政府は15日、アジア地域18か国および国際機関が参加する「AZEC+オンライン首脳会合」を開催した。高市早苗首相は中東情勢の悪化で影響を受けるアジア太平洋諸国に対し、エネルギー調達などを支援するための100億ドル(約1兆6千億円)規模の金融協力を実施すると表明した。ロイター通信などが伝えた。

高市首相は同会合で、エネルギーや重要物資のサプライチェーン強靭化を目的とした新たな協力枠組み「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)」の発足を発表し、参加各国から合意と歓迎を得た。既存の「AZEC」に経済・エネルギー強靭化の視点を加えた「AZEC 2.0」への発展にも賛同が得られた。

100億ドルの金融協力は、支援対象国の原油調達に必要な資金力や信用力の不足を補うことを目的とする。国際協力銀行(JBIC)の貸付、国際協力機構(JICA)の海外投融資・緊急円借款、日本貿易保険(NEXI)の保険提供などを通じて実施される。これにより調達可能となる原油・石油製品は最大12億バレルで、ASEANの原油輸入量の約1年分に相当する。備蓄・放出システムの構築や備蓄タンクの建設といった構造的な支援も行われる。

今回の大規模支援の背景には、アジア諸国との密接な相互依存関係がある。高市首相は、人工透析用器具や手術に使用する廃液容器、手袋などの医療物資をアジア各国の供給に依存している現状を説明した。化学製品や医療関連物資の原料となるナフサの調達不足への懸念も広がっており、現地供給が維持できなくなれば日本国内でも製品不足に陥るリスクがある。首相は「アジア各国のサプライチェーンを支えることが、そのまま日本経済の強化にもつながる」と述べ、日本の国益を守る観点からの支援であることを強調した。

フィリピン、ベトナム、タイなどアジア各国は原油輸入の60〜90%を中東のホルムズ海峡に依存する一方、備蓄日数は30〜60日分にとどまっており、中東情勢悪化の影響を特に深刻に受けている。一部の国が日本の備蓄石油の融通を期待しているとみられるが、日本政府は「日本の備蓄を融通するものではなく、国内需給への悪影響は一切ない」と明言しており、支援はあくまで資金面と制度構築への協力に限定される。

首脳会合にはフィリピンのマルコス大統領、マレーシアのアンワル首相、シンガポールのウォン首相らが参加し、連携対応を確認する議長声明を発出した。高市首相は今回の取り組みを「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の具現化と位置づけ、アジアをより強く豊かな地域とする決意を示した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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