マレーシア沖に「影の石油拠点」 イラン原油 中国向けに密輸か

2026/04/28 更新: 2026/04/28

CNNはこのほど、マレーシア近海の一部海域が、監視の届きにくい「海上の石油積み替え拠点」となっており、イラン政権と中国共産党(中共)が、この海域を利用して石油取引を行っている疑いがあると報じた。

この海域はシンガポール海峡の東側入口付近にあり、EOPL錨地と呼ばれている。マレーシア半島の海岸から約43マイル、約69キロ離れており、マレーシアの排他的経済水域内にある。

4月21日、米軍はインド洋でタンカー「ティファニー」を拿捕し、船内に積まれていたイラン産原油190万バレルを押収した。CNNが衛星画像を分析したところ、このタンカーは当時、EOPLで積み荷を降ろすために向かっていた可能性があるという。

報道によると、「ティファニー」は過去1年間、EOPL錨地を何度も往来していた。世界の船舶をリアルタイムで追跡するプラットフォームMarineTrafficのデータでは、同船はこの海域周辺で航行や停泊を繰り返した後、作動が義務付けられている船舶自動識別装置(AIS)を停止していた。その後、数時間から数日後に、再びAISで確認されていたという。ただ、AISを停止していても、国際海事機関が割り当てるIMO番号によって、船舶の識別は可能だ。

CNNが確認した衛星画像によると、昨年8月、「ティファニー」はこの海域で「マジョ・クイーン」と呼ばれる別の船に、内容不明の貨物を積み替えていた。積み替え後、マジョ・クイーン号は一時的にAISを作動させ、中国方面へ北東に航行した。しかし、イラン産原油を中国へ密輸した疑いでアメリカの制裁対象となった後、同船は再びAIS追跡装置を停止した。

また、MarineTrafficのデータによると、アメリカが24日に拿捕した別のタンカー「Majestic X」も、中東とシンガポール海峡の間を複数回往来しており、目的地は同じくEOPL錨地だったとみられる。

ワシントン研究所のイラン問題専門家、ファルジン・ナディミ氏は、地理的に便利な場所にあることに加え、周辺当局の監視が緩いことから、EOPLは制裁逃れに関与する、いわゆる「影の船団」にとって重要な集結地になっていると指摘した。

非営利団体「核武装したイランに反対する連合(UANI)」が集計した衛星データによると、2025年、イラン関連の船舶間積み替えは少なくとも679件確認された。これは2024年の471件、2023年の280件を上回る。衛星が毎日この海域を通過するわけではなく、悪天候で検出できない場合もあるため、実際の件数はさらに多い可能性がある。

国際制裁の下で、イランは老朽化した不透明なタンカー船団を使い、原油を海外へ運んでいる。米政府によると、イランの石油輸出の約90%は中国に向かっている。一方、中共はイラン産原油を制裁対象としておらず、関連する制裁にも公然と反対している。

報道は、EOPL錨地がイランと中共側による影の石油取引の重要な中継拠点になっていると指摘している。イランはこの海域を通じて石油輸出を続けており、戦時下でも安定した収入を維持し、政権の資金源としている。

UANIの追跡によると、今年1月から4月21日までの間に、EOPL錨地では少なくとも250件の船舶間の石油積み替えが確認された。制裁対象となっているイラン産原油は通常、国際指標のブレント原油より1バレルあたり約10ドル安く販売されている。一方、戦争開始以降、ブレント原油価格は1バレル100ドルを上回っている。つまり、船舶間の積み替えが1回行われるだけで、イラン政権に数千万ドル規模の収入が入る可能性がある。

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