華人圏では毎年5月20日になると、SNSが「ラブラブ投稿」で埋め尽くされる。
「520」の発音が、中国語の「我愛你(愛してる)」に似ているためで、この日は恋人だけでなく家族や友人など、大切な人へ愛情や感謝を伝える「愛の日」として広く知られている。
520期間は、大切な人へ送る「520元(約1万円)」「5200元(約10万円)」など、「520」から始まる縁起のいい金額の送金画面スクリーンショットや、「520」の形に並べたバラ、高級プレゼント、自撮りツーショット写真などがSNSを埋め尽くす。
あまりに「幸せアピール」投稿が増えるため、「独身にはつらすぎる日」「バレンタインと520だけはSNS開きたくない」と嘆く独身者も少なくない。
そんな毎年恒例の「愛の日」に合わせ、中国各地の民政局(婚姻届を扱う役所)も今年、「520結婚イベント」を大々的に開催した。しかし、その「幸せムード」に今、ヤラセ疑惑が浮上している。
河南省鄭州(ていしゅう)では、複数の民政局が観光施設と組み、「520限定 結婚すると年間パスをプレゼント」というイベントを開催。現地メディアは「幸せいっぱいのカップル」として大きく報じた。
ところがネット上では、「全員顔が暗い」「初対面みたい」「本当に恋人?」と違和感を訴える声が続出した。
SNSでは「人数合わせで呼ばれ、現場に行ったら集団結婚式だった」という、サクラ役として動員されたとみられる女性たちの体験談まで拡散。「テレビに映ってしまい、家族や友人から『結婚したのか? なぜ知らせないんだ!』と連絡が殺到し、後から説明に追われた」という後日談まで話題になった。
さらに、「520イベント カップル役募集 列に並ぶだけで45元(約千円)」と書かれたサクラ募集通知まで拡散され、ただでさえ盛り上がっていた「サクラ説」を一気に強めた。
背景には、中国社会で深刻化する「結婚離れ」がある。中国では不況や失業、住宅価格の高騰、将来への絶望感などを背景に、若者の「結婚したくない」という空気が年々強まっている。
一方で当局側の「若者を結婚させ、子供を産ませたい」という圧力も強まっており、これまであの手この手で結婚を促してきた。
その圧力は企業にも及び、ついには「いついつまでに結婚しなければ解雇する」と独身社員に通達を出す企業まで現れるなど、当局や企業による「結婚しろ圧」の狂気ぶりがたびたび話題になってきた。
さらに近年、中国各地の民政局では「結婚件数の水増し」疑惑まで相次いで浮上している。
そんな中で飛び出した今回の「サクラ疑惑」に、ネット上では「あの手この手を使った末、ついに奥の手がこれか」と冷ややかな声が広がっている。
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