米イラン和平協定に署名へ 専門家が警告する「本当の試練」とは?

2026/06/16 更新: 2026/06/16

3か月余り続いた中東での軍事衝突は、大きな転換点を迎えた。トランプ米大統領は14日、アメリカとイランが和平協定で合意したと発表した。双方は6月19日、スイスで正式に文書に署名する予定だ。署名後は、衝突の正式な終結に向け、60日間の新たな協議に入る見通しで、ホルムズ海峡の通航も再開されるという。

国際社会では、中東情勢の安定に向けた重要な一歩と受け止められている。一方で、イランの核開発問題や地域の武装勢力をめぐる対立など、和平の行方にはなお不透明感が残る。

合意の全文はまだ公表されていない。シャリフ氏によると、内容にはレバノンを含むすべての戦線での恒久的な停戦が盛り込まれているという。トランプ氏も先にSNSで、アメリカがイランに対する海上封鎖を直ちに解除し、ホルムズ海峡の通常通航を再開すると発表した。

ホルムズ海峡は、世界有数のエネルギー輸送ルートであり、世界の原油輸送量のおよそ5分の1が通過する。今年2月以降、両国の対立が激化し、イランが海峡封鎖で西側諸国をけん制したことで、国際原油価格は大きく上昇し、世界の供給網にも影響が広がっていた。

和平合意の報道を受け、同日の国際原油先物価格は主要2指標ともに4%超下落した。

台湾の国防安全研究院の若手研究員、鍾志東氏は、「双方とも、戦争を続けても利益はないと認識している。今回の合意の実質的な意義は、何よりもホルムズ海峡が正常化し、自由な通航が回復する点にある。湾岸諸国や世界のエネルギー市場にとって、非常に前向きな意味を持つ」と述べた。

海峡の再開に加え、イランの核開発計画も今回の協議の焦点となっている。イランは長年、高濃縮ウランをめぐる問題で国際社会の懸念を招いてきた。

分析では、今回の合意でアメリカは交渉上の優位を保ち、イランに主要課題で譲歩を促したとの見方がある。一方、実際の利益という点では、イランやペルシャ湾岸諸国が大きな恩恵を受ける可能性がある。中国共産党(中共)にとっては、中東での影響力拡大が難しくなるとの指摘も出ている。

同研究院の沈明室研究員は、「イランは国内経済の深刻な悪化や、石油輸出の停滞に直面していた。ホルムズ海峡の即時再開は、エネルギー危機やインフレといった問題の緩和につながる」と指摘した。

沈氏はさらに、今回の合意でイランがホルムズ海峡、濃縮ウラン、周辺の武装勢力への支援、ミサイル開発といった主要課題で譲歩したと分析した。そのうえで、「イランが地域で影響力を発揮しようとしてきた従来の構図は変化する可能性がある。中共がイランを足がかりに中東で影響力を広げようとする動きにも影響が及ぶ」と述べた。

イランのガリババディ外務次官は、アメリカとイランが合意に達したことを公に認めた。一方、一部のイラン国営メディアは、この合意について「敵を信頼するものではなく、相互不信が続く中で作成されたものだ」と伝えている。このため、合意の実効性を疑問視する声もある。

鍾氏は、「過去にもホルムズ海峡が開放された後、再び閉鎖されたことを忘れてはいけないと思う。今回もなお多くの変数が残っており、その鍵は合意内容にある」と述べた。

専門家の間では、イランに対して引き続き警戒が必要だとの見方もある。合意はまだ正式に署名されておらず、最大の争点である核問題も最終的な解決には至っていないためだ。

中東和平には光が見え始めたものの、まだ終着点に達したわけではない。今後1~2週間が、合意の実効性を見極める重要な期間となる。

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