中共のウイルス入りUSBメモリが陸上自衛隊に侵入 専門家が3つの対策を提言

2026/06/29 更新: 2026/06/29

陸上自衛隊の機密システムで、中国製ウイルスを含む偽造USBメモリが約1年にわたって使用され続け、複数のセキュリティー検査機構がすべて機能しなかった。この事態が発覚したのは2025年2月のことだった。

専門家は、この問題が表面化したタイミングは現在の日中関係の急激な変化と密接に関連しており、日本全体の安全保障戦略が深刻な転換期にあることを映し出しているとした上で、3つの次元からの対応策を提言した。

機密システムが約1年間「ウイルスを抱えたまま稼働」 多重検査は形骸化

陸上自衛隊(陸自)中部方面隊は2025年2月、機密システムのコンピューターに挿入されていたUSBメモリの一群にマルウェアが含まれていることを発見した。これらのUSBメモリは最初に2024年3月に部隊へ持ち込まれており、約1年にわたってウイルスを抱えたまま使用されていた。

日本経済新聞が近日入手した陸自の内部文書によると、陸自隊員が大阪府伊丹市近郊の地域総監部でコンピューターの動作が遅くなっていることに気づき、同コンピューターに挿入されていたUSBメモリを確認したところ、ウイルスの存在が判明した。

内部調査では感染したUSBメモリが6本発見された。調査対象となった約480台のコンピューターのうち、50台以上でこれらの感染USB端子が使用されていた。コンピューターのうち約半数は、部隊の指揮統制システムなど高度に機密性の高い情報を扱うクローズドシステムに接続されていた。

陸自のサイバーセキュリティー部門がこれらのUSBメモリを分析した結果、中国製の偽造品であることが確認された。これらのUSBメモリは内蔵メモリーチップではなく、安価で速度の遅いmicroSDカードを記録媒体として使用しており、その一部にウイルスが含まれていた。

容量面でも深刻な偽装が確認された。実際の容量は240GBで、表示容量の約4分の1にすぎなかった。

小泉進次郎防衛大臣は6月26日の記者会見で、陸上自衛隊がウイルスに感染した中国製USBメモリを使用していた問題について説明した。同大臣は、再発防止のため「ウイルス検査の徹底を図っている」と述べた。

台湾の国防安全研究院研究員の沈明室氏は大紀元に対し、中国製の電子製品には「出荷時からウイルスが仕込まれている」という常套手段が存在すると指摘した。

「中国で購入したUSBメモリには、トロイの木馬プログラムが密かに仕込まれている可能性が十分にある」と述べた。

このため、業界での慣行は使用前に処理を行うことだという。沈氏は「通常はフォーマット処理を行うか、ウイルス検査を完了してから使用を開始する。ただし、検出・除去が容易でないウイルスも存在する」と説明した。

沈明室氏は、台湾もかつて同様の教訓を経験し、すでに強硬な措置を講じていると指摘した。

「台湾は現在、中国大陸からの多くの情報製品の使用を全面的に禁止している」と述べた。ただし沈明室氏は、単純な使用禁止は受動的な防御にすぎず、より重要なのは情報セキュリティー管理の包括的な仕組みを構築することだとの見方を示した。

日中関係の悪化で日本の戦略転換が加速

今回の問題が表面化したタイミングは、現在の日中関係の急激な変化と密接に関連しており、日本全体の安全保障戦略が深刻な転換期にあることを映し出している。

沈明室氏は、関連報道がこの時期に公表された背景には現在の地政学的な雰囲気が深く関わっていると分析した。

沈明室氏は「現在、日中関係の緊張や、中国共産党が情報セキュリティー上の侵入を利用することの危険性を日本が直視し始めたことを受け、メディアが2025年2月の出来事を報道するに至った」と述べた。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏も同様の見方を示し、「現在の日中関係には非常に顕著な悪化・緊張の局面が生じている」と付け加えた。唐靖遠氏はこの緊張局面が高市早苗氏の就任と密接に関係していると指摘した。

唐氏は経緯を振り返り、昨年初頭には日中関係はそれほど緊張していなかったと述べた。しかし昨年後半から、高市早苗氏が「台湾有事は日本有事」といった発言を行い、中国共産党側の強烈な反発を引き起こしたことで、日中関係が急速に悪化したと説明した。

唐靖遠氏は、こうした背景のもと、日本は「この問題でもはや遠慮する必要はないと判断した」と指摘した。過去には中国共産党がハッキングやサイバー侵入などの手段で日本の情報を探っても、日本側は一貫して低姿勢で対処してきた。

「しかし今や日中関係の悪化により、日本政府の中国共産党に対する姿勢は強硬へと転換した。日本側はもはやそうした要因を気にしなくなった。だから、このような報道が世に出せるようになったのだ」と同氏は述べた。

実際、日本の防衛姿勢はすでに複数の側面で歴史的な転換点を迎えている。今月7日には、陸上自衛隊が静岡県で年間最大規模の実弾演習「第68回富士総合火力演習」を実施した。

演習は南西諸島への敵軍上陸を想定した内容で、対ドローン戦や塹壕戦の訓練課目を取り入れた。また初めて一般公開されたのが、「反撃能力」の中核と位置づけられる「25式極超音速滑空弾(Type-25 HVGP)」の発射車両システムだった。

日本が独自に開発したこの新型兵器は補助ロケットにより発射され、マッハ5を超える速度で不規則な軌道変更を行うことができるため、現行の防空システムによる迎撃が極めて困難とされている。主に敵の指揮中枢や防空システムなど高価値目標の攻撃を目的としている。

長距離打撃能力の面では、射程約1千キロメートルに強化された「25式地対艦誘導弾」が3月末に熊本県健軍駐屯地へ正式配備された。その射程は台湾北東海域を含む東シナ海の大半をカバーしており、中国の沿岸部の大半と朝鮮半島のほぼ全域に達する。

また、防衛省が近く発表する2026年版「防衛白書」では引き続き中国共産党を日本が直面する「最大の戦略的挑戦」と位置づけ、同盟国・同志国との安全保障協力を強化することで抑止・対処能力を向上させ、インド太平洋地域の安定を維持することを強調する見通しだ。

白書では、2025年12月に中国共産党の戦闘機が自衛隊機に対して火器管制レーダーを複数回照射した事案についても言及しており、日中間の軍事的接触リスクが高まっていることを浮き彫りにし、地域の安全保障上の懸念をさらに深刻化させている。

日本政府は現在、防衛戦略の見直し作業を進めており、2022年に策定した「国家安全保障戦略」など安保関連3文書について、急速に変化する安全保障環境への対応として年内に改定を行う方針だ。

中国共産党への対抗策は? 専門家が3段階の対応策を提示

廉価なハードウェアを媒体とした中国共産党によるサイバー侵入に対し、唐靖遠氏は日本のみならず西側諸国全体が複数の次元から体系的に対処する必要があると主張した。

第1の次元は政治・外交面であり、同氏は「情報公開」の戦略的価値を強調した。

「今や米国も日本も、欧州の多くの国々も、もはや遠慮しなくなっている」と述べた。以前は多くの国が中国共産党との経済・外交関係への配慮から被害を受けても公表しなかったが、状況は変わりつつある。

唐靖遠氏は「こうした事案がますます多く公表されるようになっている。たとえば米国は政府として直接公表している」「こうした情報公開は、少なくとも世論・政治・外交の面で中国共産党を受身の立場に追い込み、一定の抑止効果をもたらす」と述べた。

さらに重要な対抗策として考えられるのが経済面、すなわちサプライチェーンの「技術的なデカップリング・選択的なデカップリング」だ。

唐靖遠氏は「自国の安全保障に関連する比較的機微な製品については中国製を使用しない、あるいは中国からの製品に対して特別に厳格なセキュリティー検査を義務付けるべきだ」と述べた。

さらに「投資分野における審査の導入も必要であり、場合によっては深刻な事案において制裁を科すことも排除せず、こうした手段で中国共産党を抑止すべきだ」と付け加えた。

唐靖遠氏はとりわけ、日本が今や「より積極的な手段で中国共産党の侵入に反撃・対抗しようとしており、日本自身はこれを『能動的サイバー防衛』と呼んでいる」と指摘した。

同氏はこの転換には法的な根拠があるとし「2025年5月、日本が制定した法律に基づいており、同法は自衛隊と警察に対し、外部からの攻撃が発生する前であっても通信を監視・傍受し、国外の攻撃者のインフラを無力化する権限を付与している」と説明した。

唐靖遠氏はこれを重大な転換と強調し、「日本のサイバー防護が過去の純粋な防御から、積極的な反撃・対抗へと転換し始めたことを示すものだ。中国共産党にとって、これは非常に重大な警告信号となるはずだ」と述べた。

李淨
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