中国 広西洪水で学校孤立1万人超 ダム決壊・毒蛇流入で避難遅れ

2026/07/09 更新: 2026/07/09

広西では連日の激しい降雨により複数のダムが危険な状態となり、横州市の六藍ダムが決壊した。これにより下流の村や町は広範囲で浸水し、貴港市の学校では1万人以上の教職員と学生が孤立、物資不足や避難の遅れといった問題に直面している。孤立した学生やその家族が大紀元の取材に応じ、緊迫した状況を語った。

豪雨とダム決壊で広域浸水

中国本土メディアによると、台風10号の影響で、広西では約77%の地域で豪雨レベルの降雨が発生した。南寧、貴港、欽州、防城港では降水量がいずれも600ミリを超え、多くの地点で過去の記録を更新した。広西全域では14の地級市と63の県・区が被災し、被災者は37万5000人に達している。

長時間にわたる強い降雨の影響で、横州市では六藍ダム、雲表ダム、三岔ダム、茶園ダムなどが相次いで危険な状態となった。中でも六藍ダムの被害は深刻で、堤体の崩壊は約50メートルに及び、大量の水が一気に流出した。下流の村や町では交通が遮断され、住民は断水・停電の中で救助を待つ状況に置かれている。

貴港の学校で1万人超が孤立 水深7メートル

ダム決壊による洪水は急速に下流に位置する学校の校内へと広がり、平穏だった校内は一夜にして孤立状態となった。中国本土メディアによれば、約1万2000人の教職員と学生が取り残され、救助と避難が急がれている。

貴港市の学校では、最も深い場所で水深が約7メートルに達している。地域には、貴港市高級中学(在校生約5800人)、広西物流職業技術学院(約1万5000人)、博雅公学(約1000人)の3校があり、校舎や宿舎の低層階は浸水し、断水・停電の状態が続いている。

広西物流職業技術学院の学生の母親、鄭玉珍氏は、数千人の学生が段階的に避難しているものの、船の輸送能力が不足していると語った。「主に六藍ダムの決壊が原因で水の流入が非常に速く、一昨日の夜に浸水が始まり、翌朝には1階の高さまで達していました」と述べ、息子とは7日夜10時40分以降、連絡が取れていないと不安を訴えた。

別の保護者、蔣婉婷氏は「息子は5階におり、1階の学生から順に避難させています」と説明した。

学生は廊下で寝泊まり コブラなどの毒蛇も確認

水位の上昇に伴い、学生たちは高層階への移動を余儀なくされている。ある男子学生の姉、周子晴氏は「今日は学生にはパン1個と水1本しか配られていません。弟は昨夜、5階の廊下で寝ていました」と語り、一昨日の夜は足首程度だった水が翌夜には2階まで達したと説明した。救助については、大型船が到着する前は小型のゴムボートしかなかったという。

すでに避難した学生の楊麗氏は、避難所が荷城中学に設けられていると述べ、「宿舎1階と2階の学生は6階に移動し、階段付近で寝ており寒かった」と振り返った。避難時には、2階の廊下からゴムボートに乗り込んだという。また「校内ではコブラなどの毒蛇が多数確認されている」と語った。

中国本土メディアによると、六藍ダムと雲表ダムの被害により、近隣の毒蛇養殖場も浸水し、初期の集計で約800〜900匹のヘビが逃げ出したとされている。

物資輸送の困難と避難遅れへの疑問

在校生の友人である呉夢潔氏は「昨夜は連絡が取れましたが、パン1個しか食べていないと言っていました」と語り、「なぜ学校は事前に避難させなかったのか」と疑問を呈した。別の学生の姉、陳雅婷氏は「避難できたのはごく一部の学生にとどまっている」と述べた。

ある保護者は、子どもが8日午後6時ごろ救出されたものの、周辺のホテルが満室だったため、ネットカフェで一夜を過ごしたと明かした。

注目されるのは、中央テレビなどの公式メディアが軍の救援活動への称賛に報道の焦点を当て、「ダム決壊」「学生の孤立や食料不足」「毒蛇の流出」といった情報をデマと位置付けている点である。こうした説明が、救援設備の老朽化や輸送能力の不足といった構造的問題を覆い隠し、結果として救助の遅れを招いているとの指摘もある。

校内の水位は依然上昇

7月8日、湘中応急救援隊の陳坤隊長は、午後9時の時点でも約3000人が救助を待っていると明らかにした。広西物流職業技術学院の教師、黄菲氏は、救助艇の不足が救助の遅れに直結していると指摘し、四川省の応急ボランティアである黄恒一氏も同様の課題を挙げた。横州市で活動する救助隊員は、多くの村で電気や水道の復旧が進んでいないと語っている。

李浄
顧暁華
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