カナダ油田買収を支援 脱税容疑で中国系男性を指名手配

2026/07/16 更新: 2026/07/16

2016年の「パナマ文書」流出をきっかけに発覚した脱税事件で、中国系の男性、ウェンタオ・ヤンが中国の投資家による数億カナダドル規模のカナダ油田資産の買収を支援していたことが明らかになった。ウェンタオ・ヤンは脱税容疑に加え、複数回にわたり出廷しなかったとして、現在、カナダ全土で指名手配している。

カナダ歳入庁は、ヤンが石油取引のコンサルティング料として得た収入をめぐり、86万カナダドル以上を脱税したとしている。

7月14日、アルバータ州上級裁判所は、昨年12月にヤンに対して出していた州内の逮捕状を、カナダ全土を対象とする逮捕状に切り替えた。

CBCの報道によると、逮捕状の資料には、ウェンタオ・ヤンは「もはやカナダの居住者ではないようだ」と記されている。

ウェンタオ・ヤンは、カナダ歳入庁が昨年11月に提起した9件の罪に問われている。内訳は、虚偽の納税申告書提出が4件、脱税が3件、詐欺が2件である。

このうち4件は、ヤンが2015年と2016年の個人納税申告書を修正し、商業取引の成立を支援して得た手数料を申告しなかったとするものだ。その他の罪は、ヤンが取締役を務めるKailas Energy Corp.を代表して、虚偽の納税申告書を提出したことに関係している。

カナダ歳入庁は14日に発表した声明で、「歳入庁はウェンタオ・ヤンが中国の投資グループによる複数のカナダ石油・天然ガス資産の買収を支援したと主張している。2015年および2016年の課税年度において、ヤンは関連するコンサルティング料収入を申告しなかった」と説明した。

声明はさらに、「これらの取引では、外国銀行口座を含む複数回の送金を通じて資金の出所が隠され、その後、被告のカナダ国内の口座に入金された」としている。

パナマ文書をめぐる刑事捜査で初の公表対象に

ヤンはカナダ歳入庁が「パナマ文書」をめぐる刑事捜査を始めて以降、初めて公に知られることになった捜査対象者である。

2018年、カナダ歳入庁はこの捜査の一環として、ウェンタオ・ヤンが所有するカルガリーの100万カナダドル規模の住宅、ウェンタオ・ヤンと妻が暮らしていた西バンクーバーの豪邸、さらにトロント北部にある夫妻の会計士事務所を捜索した。

カナダ歳入庁は捜索令状の申請時、上海生まれのウェンタオ・ヤンが所得税と物品・サービス税を合わせて86万カナダドル以上逃れたと説明していた。当時、ウェンタオ・ヤンは中国の投資家が関わった石油分野で最大規模の取引から、270万カナダドル近くを得ていた。

ヤンは当時、声明を発表し、これらの疑惑を重く受け止めており、適切な時期に対応する考えだと述べていた。しかし今回の指名手配を受け、ヤンの所在は確認されていない。

現時点で当局が公表している情報は限られており、捜査に8年以上を要した理由は明らかになっていない。

ヤンが関与した7億7千万カナダドルの取引

ヤンへの脱税捜査は、「パナマ文書」を端緒として始まった。これは1170万件の財務記録が流出した大規模な情報漏えい事件で、世界各国の富裕層や有力者が秘密の海外法人を利用して資産を隠す実態を明らかにした。

これらの記録はドイツの記者らに渡り、その後、ワシントンに本部を置く国際調査報道ジャーナリスト連合を通じて、他の報道機関も共有した。

カナダ歳入庁によると、同庁は当初、国際調査報道ジャーナリスト連合のサイト上で、ウェンタオ・ヤンの海外資産に注目したという。

裁判所に提出した訴追資料によれば、歳入庁の調査で、ヤンが複数のカリブ海地域の会社の株式を保有、または支配していたことが確認できる。そのうちMarquee Financial Services Inc.という会社はケイマン諸島で登録しており、2016年の大型石油取引で重要な役割を果たしていた。

この7億7千万カナダドルの取引の一部はヤンが支援して成立したもので、中国の投資家が経営難に陥っていたカルガリーの石油・天然ガス生産会社Long Run Explorationを買収する内容だった。

歳入庁によると、買収完了から間もなく、買い手側の会社はケイマン諸島のMarquee Financialに1150万カナダドルを送金した。その後、Marquee Financialは2回に分けて、270万カナダドル相当の資金をヤンのTD銀行の2つの口座に送金した。そのうち1件には「コンサルティング料」と明記していた。

歳入庁は、ウェンタオ・ヤンがこの資金を受け取ったにもかかわらず、2016年の納税申告書で収入として申告しなかったとしている。

CBCの調査では、ヤンがカナダ西部で複数の企業による石油・天然ガス関連資産の買収に関与していたことも判明している。

これらの企業には、カルガリーに本社を置くSequoia Resources Corp.が含まれる。同社はアルバータ州で数千本の天然ガス井を取得したが、2018年3月に破産を申請した。

また、Rockyview Resources Inc.という会社も含まれている。同社はブリティッシュコロンビア州の石油・天然ガス資産の権益を持ち、バンクーバー島に液化天然ガス(LNG)の輸送・処理施設を建設する計画も立てていた。

パナマ文書の記録によると、ヤンは英領バージン諸島で登録したEastpride Capital Ltd.、Sinoenergy Holding Ltd.、China Freeze-Dry Inc.の株主でもあった。

また、2013年に発生した別のタックスヘイブン関連の金融データ流出事件「オフショア・リークス」の文書では、ウェンタオ・ヤンが英領バージン諸島で登録した別の4社、Airchn Holdings Ltd.、Younglee Capital(Asia)Ltd.、Young-Lee Financial Ltd.、Kailas Partners Ltd.の取締役として記載していた。

周行
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