エヌビディア Noetraと日本発AI基盤構築へ 次世代産業の節目に

2026/07/22 更新: 2026/07/22

米国のAI半導体大手エヌビディアは7月16日、日本政府や国内産業界の支援を受け、Noetra株式会社と連携し、世界初となる国家規模のAIインフラ「AIファクトリー」を立ち上げると発表した。日本企業や研究機関に大規模な計算環境を提供し、ロボットなどが現実世界で自律的に動く「フィジカルAI」の開発を加速させる狙いである。

Noetraは、国産の汎用AI基盤モデルを研究開発する企業である。ソニーグループ、ソフトバンク、日本電気(NEC)本田技研工業を中核企業とし、製造業や金融、通信など幅広い業種の計44社から出資を受けている。

文章・画像・音声・動画・センサー情報など複数種類のデータをまとめて扱える国産マルチモーダル基盤モデルの開発に加え、その開発に使用する計算インフラの検討を事業としている。

産業技術総合研究所や日本のAI開発企業Preferred Networksなどから参画する技術者を中心に研究開発体制を構築し、日本の産業や社会で利用するAIの基礎部分を担う。

構築する「NVIDIA Vera Rubin AIファクトリー」には、1万3750基以上のCPU「Vera」と、2万7500基以上のGPU「Rubin」を搭載する。扱う電力は140メガワットに上り、1兆パラメータ規模の複雑なAIモデルを学習できる巨大な計算基盤となる。

今回の取り組みが焦点を当てるフィジカルAIは、カメラやセンサーから周囲の状況を読み取り、ロボットや機械を動かして、現実世界で作業する。文章や画像を作る生成AIとは異なり、工場での組み立て、倉庫での運搬、自動運転、介護支援など、人の判断や動作を補助・代行する技術として期待されている。

国家規模の計算基盤を整備する背景には、フィジカルAIの開発に必要なデータ量と計算能力の大きさがある。一企業だけで開発環境を整えることは難しく、産業界全体で利用できる共通基盤が欠かせない。

Noetraが開発するマルチモーダル基盤モデルの事前学習済みパラメーターは、国内のAIモデル開発企業や利用企業に広く提供される予定で、製造業や物流、ヘルスケア、通信など幅広い分野で、自ら判断して動くAIロボットやAIエージェントを利用した製品やサービスの開発が進むことが見込まれている。

日本政府は、国内に蓄積された現場のデータやものづくり技術を、世界最先端のAI技術と組み合わせる「FRONTiaプロジェクト」を進めている。日本のAIロボティクス戦略では、2040年までに推定1330億ドル規模となる世界のAIロボティクス市場で、30%以上のシェアを獲得する目標を掲げている。

今回のAIファクトリーは、国内産業に共通の開発環境を提供し、日本が持つ製造現場の知見をフィジカルAIの競争力につなげる役割を担う。計算基盤の整備から基盤モデルの提供までを一体的に進めることで、AIを研究段階にとどめず、現実の産業や社会で活用する体制の構築を目指すものである。

エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、「日本は今日の製造業を生み出した。そして今、次の産業革命を牽引するAIファクトリーの構築に取り組んでいる」と述べた。

今回の計画は、フィジカルAIを産業界全体で開発し、次世代のAIロボット社会を世界に先駆けて実現するための基盤づくりと位置付けられている。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
関連特集: 日本経済