改正外為法で対日投資審査を強化 省庁横断の「対日外国投資委員会」創設

2026/08/17 更新: 2026/08/17

安全保障の対象が経済分野へ広がる中、国の安全などを損なう恐れのある外国投資への審査を強化する改正外為法が、先の国会で成立した。

同法では、外国投資家による日本企業への直接投資だけでなく、外国法人を介した間接的な買収などにも規制を広げ、省庁横断で投資案件を検証する「対日外国投資委員会(JFIC)」を創設し、政府全体の審査能力を高めている。

高市早苗氏は8月16日自身のXアカウントで、地域の平和と安定を守るためには、経済安全保障分野の施策を併せて強化することが不可欠だと投稿している。今回の改正では、対内直接投資審査制度の実効性向上と、安全保障環境の変化に対応した規制の拡充が柱となっている。

投資時のリスク軽減措置を明確化

従来の対内直接投資審査制度では、外国投資家が、国の安全確保などの観点から指定された業種を営む日本法人の株式などを取得する場合、事前の届け出を求め、政府が審査する仕組みとなっている。

改正法では、国の安全などを損なうリスクを取り除くために投資家が講じる「リスク軽減措置」を、届け出事項として明確化し、届け出た措置を変更したり、実施しなかったりする場合には変更届け出を義務付け、審査結果に基づいて政府が必要な措置を勧告、命令できるようにする。

規制対象も拡大する。日本企業の株式などを保有する外国法人を別の外国投資家が買収し、支配することで、間接的に日本企業の株式などを取得する行為を新たに対象とした。

これにより、日本企業そのものを直接買収しない場合でも、外国法人を介して実質的な支配権を取得する投資について審査できるようになる。

外国政府の影響下にある国内投資家も対象に

投資主体の実態に応じた規制も導入する。非居住者などの支配や影響を受けながら投資活動を行う国内投資家については、「外国投資家」とみなした上で、そのみなされた者が、類型的に特にリスクの高い非居住者などの支配・影響下で投資を行う場合について、事前届け出などの対象とする。

また、従来は事前届け出の対象ではなかった非指定業種への投資についても、新たな対応策を設ける。

外国政府などとの関係から特にリスクが高いとみられる投資家が非指定業種へ投資する場合、国際情勢の変化などを踏まえ、国の安全を損なう恐れが大きい投資に該当するかどうかを確認する必要が生じた際、政府が報告を求めることができる。その確認を踏まえ、必要に応じて、取得した株式の処分などを勧告、命令することも可能となる。

省庁横断の「対日外国投資委員会」を創設

改正に合わせ、省庁横断的な審査体制を法的に担保する「対日外国投資委員会(JFIC)」が創設された。

高市氏はこれまで、対内直接投資審査を巡る関係省庁の審査能力の向上や、省庁間の縦割りの解消を課題として挙げてきた。JFICの創設は、高市氏が自民党総裁選の公約として掲げ、自民・維新の連立政権合意書にも盛り込まれていた施策である。

JFICでは、制度を所管する財務省と、個別事案を総合調整する国家安全保障局(NSS)が共同議長を務め、外務省、経済産業省、防衛省の局長級が主たる構成員として参加する。また、必要に応じて関係閣僚の参加を得て開催し、情報コミュニティーとの連携も強化する。

審査では、投資対象となる日本企業の事業や保有技術が、防衛装備品や重要物資のサプライチェーン上でどのような意味を持つのかを、省庁横断で検証する。

具体的には、投資先となる日本企業の業種や保有技術、外国投資家と外国政府との関係などの属性、取得する議決権の割合を含む投資の態様の3つの観点から総合的に判断する。

健全な投資と経済安保の両立目指す

高市氏は、省庁間で審査ノウハウや外国投資家のリスク属性に関する情報を共有し、連携を強化することで、政府全体の審査能力を底上げできるとしている。

政府内で一貫した審査体制を構築することは、外国投資家にとっても審査の予見可能性を高めることにつながる。政府は改正外為法とJFICによる新たな体制を通じ、「健全な投資の促進」と「経済安全保障の確保」の両立を目指す。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます
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