中国共産党が戦場を宇宙へ 米国は多国間連合で対抗

2026/08/20 更新: 2026/08/20

今年8月に開かれた宇宙・ミサイル防衛シンポジウムで、米軍高官は異例にも、米国は宇宙空間における指向性エネルギー、サイバー防衛、その他の対抗能力を強化する必要があると公に提起した。

これは、米国が非運動エネルギー兵器を用いて宇宙領域の武力衝突に対処する準備を進めていることを示している。米軍の強い反応は、中国共産党(中共)が宇宙兵器を急速に開発していることと密接に関係している。こうした宇宙の武装化の傾向は、宇宙防衛体系を恒久的に変えることになる。

中国共産党が拡張 宇宙が戦場に

8月12日、米アラバマ州ハンツビルで開かれた宇宙・ミサイル防衛シンポジウムで、米宇宙軍司令部のスティーブン・ホワイティング司令官は、宇宙での衝突に備えて30分間のカウントダウンを行うという従来の想定シナリオは、すでに過去のものになったと指摘した。米国とその同盟国が直面しているのは、常時存在する宇宙作戦環境であるという。

ホワイティング氏は、敵対勢力が米国のネットワークを積極的に探り、センサーを妨害し、宇宙・ミサイル防衛資産を標的にしていると警告した。中でも、中共の急速な拡張が、宇宙軍司令部の直面する最大の課題だとした。ホワイティング氏の発言は、現在の宇宙環境が極めて脆弱であることを明確に示している。

1991年の「砂漠の嵐作戦」以降、米軍は宇宙資産を基盤とする通常攻撃と情報面での優位性を世界規模で示してきた。これにより、米国の競争相手は、宇宙能力が戦略的優位を獲得する上で、ますます重要な要素になっていると認識するようになった。

ここ数十年、中国共産党軍は宇宙能力の発展を具体的な戦略行動へと転換してきた。攻撃的な宇宙兵器の開発によってもたらされる、破壊的で非対称的な能力を用いて米国と宇宙競争を繰り広げている。将来起こり得る衝突で、運動エネルギーおよび非運動エネルギーによる攻撃手段を通じて米国の宇宙資産を機能不全に陥れ、従来の戦争領域における米軍の優位性を弱めるか、相殺しようとしている。

こうした宇宙武装化戦略により、現在の宇宙への脅威は体系的かつ破壊的な特徴を示すようになった。

ホワイティング氏は演説で、中共が現在保有している対宇宙兵器システムを詳しく列挙した。これらの兵器は地表から宇宙空間までの複数の領域を対象とし、衛星を妨害、破壊することで米軍の作戦能力を弱めることを目的としている。具体的には、中共はすでに、直接上昇型対衛星兵器、地上配備型高出力レーザー兵器、高度な電子妨害施設、軌道上での機動能力を備えた共軌道型対衛星システム、多数の軍民両用衛星を配備している。

ホワイティング氏は特に、中共の対宇宙能力は、すでに概念研究の段階から実際の配備・運用段階に入ったと強調した。米国が現在直面しているのは、遠い将来の一連の仮想的な脅威ではなく、形成されつつあり、継続的に発展している対宇宙作戦体系である。運動エネルギーによる破壊と非運動エネルギーによる破壊を切り替えることのできるこれらの能力は、米国が各軌道領域に配備している宇宙資産に深刻な脅威をもたらしている。

さらに、中共は宇宙配備型作戦体系も積極的に開発している。その目的は、中共軍に、より長距離かつ高精度の攻撃能力を持たせ、太平洋の広大な海域で、米インド太平洋軍の担当地域に展開する部隊を捜索、測位、追跡し、標的にできるようにすることである。宇宙から地上・海上作戦を直接支援するこうした情報能力は、地域の戦力均衡を変えつつある。

ホワイティング氏は、「宇宙には安全な避難場所はない。われわれは塹壕を掘ることも、盾を築くこともできない。われわれの衛星は常に、あるいは予測可能な形で、敵の兵器交戦圏内にある」と述べた。

この独特の作戦領域において、機動しない衛星は実質的に静止し、軌道を予測できる標的である。いつ致命的な攻撃を受けてもおかしくない。このため、将来の宇宙資産の防衛は極めて複雑になる。

サイバー空間が争奪の焦点に

ホワイティング氏は、サイバー技術は実質的に宇宙体系全体の運用を支えていると警告した。宇宙ネットワークは地球規模で広がり、地上の管制・通信施設から、地表から約2万2千マイル離れた静止軌道にまで達し、巨大な新たなサイバー空間を形成している。米国は、どの部分も突破されたり、体系全体の弱点になったりしないよう、ネットワークの全連鎖を防衛しなければならない。

中共は、こうしたネットワーク体系の弱点を積極的に探し、可逆的または不可逆的なサイバー攻撃と妨害によって、宇宙資産の制御権を奪うか、そのデータ伝送を遮断しようとしている。サイバー空間と宇宙を深く結び付けたこの作戦方式により、米国は数万マイルに及ぶサイバー空間に、突破を許さないデジタル防衛線を構築する必要に迫られている。

宇宙サイバー空間を巡る争いは、現在の複数の局地的紛争にも表れている。ウクライナの戦場では、ロシア軍が商用衛星や通信ネットワークへの攻撃を繰り返し試み、ウクライナの指揮・統制システムを破壊しようとしている。同時に、イランも限られた技術手段を用いて、米国の宇宙資産への妨害や攻撃を始めている。一方、中共は軌道上での機動能力と軌道上支援能力を発展させようとしている。

近年、中共の宇宙領域における発展傾向は強い攻撃性を示している。例えば、軌道上で2基の衛星の間に機械的な相互作用を行わせている。こうした宇宙機動能力は、宇宙機動作戦能力へ発展する可能性がある。これは、将来の宇宙が新たな破壊的戦争領域になる可能性を意味している。

ホワイティング氏は複数の場で、軌道上の核対衛星兵器がもたらす潜在的な脅威に言及している。こうした大量破壊兵器の脅威は、中共、ロシア、北朝鮮の核戦力拡張に伴って、ますます危険性を増しており、宇宙領域へ広がる傾向も示している。こうした大量破壊兵器がいったん地球周回軌道に配備されれば、宇宙環境全体に取り返しのつかない壊滅的な影響を及ぼすことになる。

中国共産党、国際規範を軽視 宇宙環境の悪化招く

中国共産党による宇宙領域での脅威は、国際規範を軽視する姿勢にも表れており、宇宙環境の継続的な悪化を直接招いている。

国際的な宇宙監視データによると、中共は過去の対衛星兵器実験で大量の宇宙ごみを発生させた。これらの破片は現在も国際宇宙ステーションや各国の衛星の安全を脅かしている。

さらに、中共は通信衛星計画を進める過程で、使用済みロケットの残骸を低地球軌道に何度も放置してきた。この行為は軌道上での衝突リスクを高めている。

一方、米国はSpace-Track.orgを通じ、基本的な宇宙状況認識と軌道追跡のデータを世界へ提供している。同時に、宇宙任務終了後の軌道寿命を原則25年以内に抑えることを求めるなど、軌道上の宇宙ごみを減らす政策を長年実施している。

これに比べ、中共の行動は世界の公共領域の安全を全く顧みていない。

米国が対抗措置 多国間連携を構築

中国共産党による多層的かつ非対称的な挑戦に対し、米国は相応の措置を講じている。米宇宙軍司令部は、同司令部とミサイル防衛局など主要な国防機関との高度な統合を全力で進め、新たな宇宙指揮・統制センターを形成しようとしている。米宇宙軍司令部は、アラバマ州ハンツビルに「統合宇宙作戦司令部」を建設した。

ホワイティング氏によると、米宇宙軍司令部が専用の統合型作戦司令部を持つのは初めてだ。新施設は、任務システム、ネットワーク、各軍種と支援機関の関連能力を統合し、宇宙軍司令部に対して、部隊の指揮、統合部隊の一体化、宇宙作戦任務の遂行に用いる近代的な指揮・統制基盤を提供する。

同時に、同司令部が置かれる地域には、ミサイル防衛局、陸軍資材司令部、米航空宇宙局(NASA)のマーシャル宇宙飛行センターなどの機関も所在しており、米国の宇宙、ミサイル防衛、国防科学技術の集積地を形成している。

こうした機能の統合は、米軍が将来の宇宙競争に対応するための中枢を根本から再構築していることを示している。

米宇宙軍司令部は、2029~2033会計年度に向けた明確な優先能力投資計画を策定している。その中心は、衛星を静的な消耗品とみなしてきた従来の考え方を根本的に改め、動的宇宙作戦の概念へ移行することにある。宇宙資産に、海軍艦艇や空軍機と同様、継続的に機動し、能動的に脅威を回避し、有利な位置を占める戦術能力を持たせ、その機敏性と強靱性を重視する。

同時に、米軍は、宇宙配備型センサー、地上配備型および海上配備型の迎撃システムを統合するなど、領域横断型ミサイル防衛システムの研究開発も加速させている。極超音速滑空兵器から直接上昇型対衛星兵器まで、多層的で複雑な攻撃手段に対処することが目的である。

さらに、米国は世界規模の宇宙への挑戦に対処するため、多国間連携の枠組みも構築している。米宇宙軍司令部が主導する「多国籍部隊・オリンピック・ディフェンダー作戦(MNF-OOD)」は、オーストラリア、カナダ、英国、米国、ニュージーランド、フランス、ドイツの7か国に拡大し、2025年4月に初期作戦能力を獲得した。

ホワイティング氏は、米国が宇宙競争で持つ重要な優位性の一つは、広範な同盟国・協力国のネットワークを有していることだと強調した。この優位性は、実際の共同作戦能力へと転換されつつある。

中国共産党は戦争領域を宇宙へ拡大しようとしている。これにより、米国とその同盟国は幻想を捨て、同等の実質的な対応を取らざるを得なくなっている。相手の宇宙資産への攻撃を目的とするこうした競争は、宇宙を不可逆的な新たな戦争領域へと変えつつある。

責任編集:孫芸

夏洛山
大紀元時報(中国語)記者。長い従軍経験があり、軍事番組「Military Focus」を主宰する。
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