インドを公式訪問中の小泉防衛相は8月20日午前(現地時間)、ニューデリーのリーラ・パレスでシン国防相と初めて会談した。両氏は、海洋安全保障協力に特化した覚書に署名したほか、防衛装備・技術協力や共同訓練、多国間連携を拡大し、日印の防衛協力を新たな段階へ引き上げることで一致した。
小泉氏は会談後の臨時記者会見で、7月に高市首相がインドを訪問し、モディ首相と合意した戦略的方向性を、防衛分野で具体化することを確認したと説明した。
ユニコーンの早期移転へ協力
両氏は、これまで進めてきた防衛装備・技術協力、軍種間交流、地域・国際社会への貢献という三つの分野で、協力を加速させることで合意した。
防衛装備・技術協力では、日印間で初の装備移転案件となる艦艇用の複合通信アンテナ「ユニコーン」の早期移転に向け、年内の外務・防衛閣僚会合(2プラス2)を見据え、インド国内の手続きを含めて緊密に協力する。
近く実施予定の空軍共同訓練「ヴィーア・ガーディアン」では、航空自衛隊の戦闘機が初めてインドを訪問する。
地域・国際社会への貢献を巡っては、東南アジア諸国など第三国との連携や、日米豪印4か国の枠組みにおける協力を拡大、深化させる方針を確認した。
海洋安全保障に特化した初の覚書
両氏は日印の防衛協力を迅速に進めるため、六つの新たな取り組みを開始することでも一致した。
このうち「海洋安全保障協力に関する覚書」は、海上自衛隊とインド海軍による具体的な連携の指針となる。防衛省が外国との間で、海洋安全保障に特化した文書を交わすのは初めてである。
インド海軍の機雷対処能力の強化に向けては、装備品の移転に加え、造船や設計分野で共同開発の可能性を追求する。
インド太平洋地域のシーレーンの安全を確保するため、日印双方の造船所で、互いの艦艇の修理や整備を行う取り組みも進める。
防衛装備・技術協力では、各軍種間で運用上のニーズを協議する枠組みと、装備当局間で最先端の防衛技術に関する研究開発協力を進める枠組みで取り組みを強化する。
日本の装備品の試験や訓練に向けては、自衛隊によるインド国内の射場使用を検討する。今後の2プラス2で議論を進める方針だ。
装備移転指針の改正をインド側が歓迎
会談では、日本政府による防衛装備移転三原則と運用指針の改正についても意見を交わした。
小泉氏は、防衛装備移転三原則と運用指針の改正について、地域と世界の平和と安定に対する日本の貢献を一層強化するものだと説明した。これに対し、シン氏は改正を歓迎し、日印間の協力深化に期待を示したという。
ユニコーンの移転については、単独の案件の完了を目指すだけでなく、今後の日印装備協力を深化させる出発点と位置付ける認識を共有した。
インドネシア含む3か国連携も推進
小泉氏は、オーストラリアやインドネシアなどとの「網目状の連携」を重視する理由について、安全保障環境が急速に複雑化し、不確実性が高まる中、国際秩序の維持に日印が果たす役割は一段と大きくなっていると指摘した。
両氏は、日印間の共同訓練が着実に拡大していることを歓迎するとともに、インドネシア、インド、日本の3カ国による連携を進めることでも認識を共有した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。