中国 膨大な再生可能エネルギー電力を出力抑制 送電網のボトルネックが政策上の問題を露呈

2026/08/27 更新: 2026/08/27

今年上半期、中国で新エネルギーによって発電された電力のうち、出力抑制で利用されなかった量は約360テラワット時(TWh)に達し、前年同期比で49%増加した。これはメキシコまたは英国の昨年1年間の電力消費量に相当し、中国で同期に増加した電力需要を賄うのにも十分な量である。

大規模な出力抑制は、中国のエネルギー転換が苦境に陥っていることを浮き彫りにした。専門家は、問題は一時的なボトルネックではなく、構造的な供給過剰とインフラの不整合が長期にわたってもたらした結果であり、市場の実際の需要から離れ、計画経済の古い道へ戻っていると指摘した。

出力抑制360TWh、送電網だけではない問題を露呈

世界エネルギー監視機関(Global Energy Monitor、GEM)とエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)が8月に発表した最新の研究報告によると、今年上半期、中国では風力・太陽光発電の26.1%が出力を制限された。中国共産党 国家能源局が公表した太陽光8.6%、風力9.1%という公式データを大幅に上回った。

中国問題専門家のマイク・リー氏は大紀元の取材に対し、中国の既存の送電網と新エネルギーの発電容量が釣り合っておらず、大規模な出力抑制はやむを得ない措置だと述べた。

中国共産党国家能源局は今年3月以降、各地域の月別出力抑制データの公表を停止し、外部からのコメント要請にも回答していない。これは、中国共産党(中共)が長年にわたりデータを捏造してきた事実を改めて露呈しただけでなく、中国のエネルギー転換が深刻な苦境に直面し、新エネルギーを電力系統で受け入れる圧力が強まっていることを浮き彫りにした。

両研究機関のデータによると、今年上半期、中国では石炭火力発電設備が30ギガワット(GW)増設され、前年同期比で43%増加した。一方、廃止された設備は2.7GWにとどまり、増設規模は廃止規模の約10倍となった。現在建設中の石炭火力発電設備は274GWに達し、既存の石炭火力設備容量の22%に相当する。

石炭火力発電事業者は通常、長期電力供給契約によって、前年の発電量の60~70%に相当する供給量を確保している。こうした契約が制度上、再生可能エネルギーを送電網に接続する余地を圧迫している。今年上半期の石炭火力発電量は前年同期比3.4%増加し、約10年ぶりに減少へ転じた傾向を逆転させた。

英国に本社を置くエネルギー分析会社ウッド・マッケンジーの上級アナリスト、ユアン・レン氏はロイター通信に対し、中国の出力制限は一時的な現象ではなく構造的な問題であり、今後数年間にわたって長期的に続くとの見通しを示した。

石炭火力の拡大、中国エネルギー政策の矛盾を反映

中国のエネルギー問題には、無視できない側面がある。エネルギー安全保障である。

大規模な風力・太陽光発電設備は、資源が豊富な北西部に集中している一方、電力需要は東部沿海地域にある。地域をまたぐ送電網と蓄電設備の整備が遅れているため、「発電能力は急速に拡大しているが、電力を受け入れ、配分する能力が追いついていない」という状況が生じている。

リー氏は、既存の送電網と新エネルギーの発電容量が著しく釣り合っていないことが、出力抑制の直接的な原因だと指摘した。同時に、新エネルギーは天候の影響を受けやすく、台風や雨季には変動がさらに激しくなる。火力発電は依然として供給を下支えする役割を担っており、特に華東、華南地域では、他省、主に山西省や内モンゴル自治区から調達する石炭、または輸入石炭に依存している。

中国共産党国家統計局が発表した最新データによると、今年1月から7月までの全国の一定規模以上の企業による火力発電量は、累計3兆6127億キロワット時に達し、前年同期比1.8%増加した。

中国のエネルギー政策は、単純に「経済効果の最大化」や純粋な市場原理だけで理解することはできない。エネルギー安全保障、地方の投資と国内総生産(GDP)を押し上げる動機、新エネルギーの産業チェーンと雇用、電力システムの安定性、二酸化炭素排出削減目標など、複数の政策目標が絡み合った結果である。

地方政府にとって、石炭火力、新エネルギー、送電線、関連産業の建設はいずれも投資とGDPの増加をもたらす可能性がある。送電網にとって、石炭火力には出力を調整できる能力と安定性がある。中央政府にとって、新エネルギーはエネルギー安全保障と化石燃料の輸入削減に関係している。しかし、広範囲な電力不足を防ぐため、石炭火力の拡大を容認せざるを得ない。

これらの目標は互いに排他的なものではないが、優先順位と実施の仕組みが一致しない場合が多い。その結果、「一方で新エネルギーを大量に建設しながら、もう一方で石炭火力を大幅に拡大する。一方でグリーン転換を強調しながら、もう一方で石炭火力を長期契約によって保障する。一方で発電能力を拡大しながら、もう一方では新たに増えた電力を受け入れる十分な能力を持たない」という状況が生じている。

中国のエネルギー問題の核心は政策 投資家は信頼失う

より根深い問題は、中共の政策方針が市場の現実から乖離していることにある。

「零碳世界」の統計によると、4月時点で、中国の太陽光発電設備の累計容量は12億5千万キロワットに達し、米国の約4.5倍となった。しかし、4月の太陽光発電量は570億6千万キロワット時にとどまり、米国の1.25倍にすぎなかった。同じ時期、米国の太陽光発電設備の累計容量は約2億8千万キロワットで、4月の発電量は約455億キロワット時だった。

設備規模が巨大である一方、実際の有効発電量が極めて少ないことは、出力抑制問題の深刻さを浮き彫りにしている。これは膨大な資源の浪費を引き起こすだけでなく、新エネルギーの将来も損なっている。

送電網と蓄電インフラを同時に整備できていないため、出力抑制問題を短期間で完全に解決することは難しい。国土空間計画、送電網への投資周期、長期電力供給契約制度、規制当局間の調整など、複数の構造的要因が関係しているためである。

送電網が新たな電力を受け入れる能力は悪化し続けている。さらに、近年、再生可能エネルギーの固定価格買取制度と財政補助金が廃止されたことにより、今年上半期の中国における太陽光発電設備の新規導入量は66%急減した。

投資家は、独立型太陽光発電事業の財務的な実現可能性について、ますます慎重になっている。出力抑制のリスクを軽減するため、クリーンエネルギー投資は「太陽光発電+蓄電」を組み合わせる方式へ移行し始めた。

ロイター通信は、北京のコンサルティング会社、卓爾徳環境研究与諮詢中心(Draworld Environment Research Center)の首席エコノミスト、張樹偉氏の分析を引用し、出力抑制が深刻化するにつれ、「事前に計画の財務的な実現可能性を評価することがますます困難になっている」と報じた。

中国の大手国有企業は相次いで新エネルギー事業の株式を売却している。中国本土メディアの報道によると、「預見能源」の統計では、今年上半期だけで新エネルギー企業の株式取引が37件あり、国有資本を背景とする売り手が65%、経営支配権に関わる取引が60%を占めた。

今回の株式売却の動きでは、国家電網、南方電網、中国電建、中国広核集団などの大手中央・国有企業も名を連ね、注目を集めている。

リー氏は、中共が新エネルギーを大規模に発展させているのは、実質的には外国の化石エネルギーへの依存を最大限に減らすことが目的だと述べた。しかし、現在のエネルギー政策の下では、再生可能エネルギーの発展が市場の実際の需要から一定程度乖離し、生産能力の過剰と需給の不均衡が生じ、計画経済の古い道へ戻っていると指摘した。

李皓月
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