アメリカでAI産業が急速に拡大するなか、データセンターの電力消費や電気料金、環境への影響をめぐる議論が激しさを増している。こうしたなか、Xは、約20万のアカウントで構成されるネットワークが、AIやデータセンターへの反対意見を広めていたことを明らかにした。
中共との関連疑われるアカウント群 世論工作か
Xは8月27日、同社のセキュリティーチームが、中国共産党(中共)との関連が疑われる「中国語ボットファーム(Chinese bot farm)」を発見したと発表した。
大量の偽アカウントを使い、米国内のAIやデータセンターをめぐる議論に介入し、反対意見や懸念を拡散する「影響力工作」を行っていた。
Xの「Global Government Affairs」アカウントによると、このネットワークは、中共との関連が疑われる約20万の偽アカウントで構成していた。
このうち約200のアカウントが、アメリカのAI・エネルギー政策をめぐる議論に影響を与えようとする投稿を行っていた。
AIデータセンターの建設に反対する内容のほか、「データセンターが送電網への負担を増やし、家庭の電気料金を押し上げる」と訴える投稿などを確認した。
AIで生成した画像も使われ、データセンター事業者を「公共の利益を損なう企業」と印象づける内容を拡散していた。
Xは、同社のポリシーに違反する不正なアカウントを停止するとしている。ただ、今回のアカウントや運営者に対し、今後さらにどのような措置を取るのかは明らかになっていない。
OpenAIも以前、中国発とみられる複数のChatGPTアカウントを停止したと発表している。
これらのアカウントは、アメリカ向けの世論工作に使われ、データセンターが電力需要を増やし、コストを押し上げるとする内容などを作成していた。
米国内でもデータセンターに反対の声
中共によるアメリカ世論への介入が疑われる動きが明らかになる一方、米国内ではAIデータセンターに反対する声も強まっている。
ペンシルベニア大学が8月初めに実施した調査では、回答者の61%が、自分の住む地域への新たなデータセンター建設に反対した。2〜3月の調査から12ポイント上昇した。
YouGovが8月25日に発表した調査でも、47%が「新たなAIデータセンターの建設はアメリカに悪影響を与える」と回答した。
データセンターはAI産業を支える重要なインフラだが、大量の電力を消費し、冷却設備も24時間稼働させる必要がある。
このため、大規模なAIデータセンターの建設が送電網への負担を増やし、電気料金の上昇につながることを懸念する住民もいる。
一部の専門家は、外国勢力による世論工作があったとしても、電気料金や土地利用、送電網への負担をめぐるアメリカ住民の懸念は実際に存在すると指摘している。
米中のAI競争が激化
AIは、米中の技術競争における主要分野の一つとなっている。
アメリカがデータセンターの整備を進める一方、中共は国内のAI企業を積極的に支援し、世界のAI産業や国際標準づくりで影響力を強めようとしている。
スタンフォード大学人間中心AI研究所(Stanford HAI)が今年4月に発表した「AI Index 2026」によると、アメリカには現在5427か所のデータセンターがあり、世界最多だ。ドイツ、イギリス、中国を大きく上回る。
ペンシルベニア州選出の民主党上院議員ジョン・フェッターマン氏は、米中がAIとエネルギー分野で主導権を争うなか、アメリカ内でAIへの反発が過度に強まれば、中共を利することになりかねないと警告した。
フェッターマン氏は、AIとエネルギー分野で優位を確保し、それを維持できるかどうかは、アメリカの国家安全保障にも関わるとの認識を示した。
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