【大紀元日本5月5日】東日本大地震で起きた12メートルの津波により、宮城県石巻市牡鹿地区では、カキの養殖施設が壊滅的被害を受けた。全国から有志のボランティア数百人が、打ち上げられた漁具を回収する作業を、先月29日から進めている。日本人の学生・社会人に加え、日本に滞在する留学生らも多数参加している。
ボランティア団は朝9時から現地に入り、小網倉浜、小渕浜、給分浜で手作業による片付け作業を行った。三陸名産のカキが、牡鹿半島周辺でも養殖されており、竹で出来た養殖カキ用のイカダは、すべてが陸に打ち上げられたり、沖に引かれたりして消失した。海岸から1キロほどの山裾にも浮や魚網があがっており、ボランティア団は手作業でこれらを片付けている。
拓殖大学で日本語を学ぶ、スペイン人留学生、サンドラ・ブラボウさんは、現地の被害状況を見て、海が起こした大津波の恐ろしさを実感したという。「海というと、母国スペインでは夏の穏やかな波と音がまずイメージにあるが、今回の日本の津波被害を宮城県で実際に見て、その威力に驚き、恐ろしいと感じた」と語った。
震災後、ブラボウさんのスペイン人の友人らは皆、原発や余震の恐怖から母国へ帰った。またスペインでは、ニュースで日本の津波・地震被害の凄惨な状況ばかり報道されているため、両親も非常に心配している、という。しかしブラボウさんは、「私は日本が大好きだから、日本に残り、何かできることがしたかった」ときっぱりと話した。
台湾からの留学生・白里立さんは、東京大学で建築を専攻している大学院生。被災地に入る前は、津波で数万人の死者が出ているので、悲しくて心は暗くなっていたが、実際に被災者たちに接してみると、その気持ちが逆向きに変わった、という。「被災者の方が、自宅の家財や生活用品が全くなくなった状況でも、しっかりと片付け作業などを着実に進めているので、その強い心にこち
らが励まされ、私も上向きになっていった」という。
小網倉浜には大漁旗と共に、鯉のぼりが海風に煽られて泳いでいた。「いつ挙げられたかわからねぇが、来ているボランティアさんたちも、こういうのが見れていいんでねえの」と、地元の漁師は鯉のぼりを見上げて笑った。
(佐渡道世・大紀元)
このボランティア団に同行する日本財団・沢渡一登さんによると、小網倉浜、小渕浜、給分浜で活動するこの漁具片付け作業は、日本財団が牡鹿地区の被害状況を調査し、県漁協の許可を得て行っているものだという。募集はインターネットや新聞広告欄で呼びかけた。牡鹿半島での作業は5月5日まで予定している。
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