【大紀元日本8月5日】中国で起きた7.23高速鉄道事故における遺族への賠償金が、当初の50万元から91.5万元にまで引き上げられた。一部の遺族は、「事故責任を追究しない」などの内容の賠償協議書に署名した。一方、署名を拒否し、事故の真相開示を求める遺族も依然として多くおり、当局から強い圧力を受けるているもよう。
情報によると、8月2日までに、31人の死者の遺族が賠償協議書に署名したとみられる。
亡くなった金顕眼さん、金揚鐘さん親子の遺族は賠償協議書に署名した。賠償金額が二転三転したことについて、政府側が取引のように遺族と綱引きするのは、中国の体制そのものを反映していると非難し、依然として事故の真相を公表してほしいと、本紙の取材で語った。
賠償金額が再三変更したことについて、中国国内の法律専門家は「鉄道機関が事故処理に関して、明確なガイドラインがなく未熟であることが露(あらわ)になった」と指摘。同意しない遺族は法的訴訟を起こすべきだと話した。
また、一部の遺族は、遺体を火葬した後に、政府側の対応が豹変して、急に冷たくなったと話している。
賠償協議書に署名した遺族・張さんによると、事故当時、姪と幼い息子2人が乗車していた。姪が亡くなり、2人の息子は負傷して病院で治療を受けている。事故後、鉄道部は陳謝することもなく、ただひたすら協議書に署名するよう強要し続けていた。また、負傷者への賠償金は1千元余りしかなく、「治療費すら賄えない」という。
ある遺族は、「インターネットでの事故に関する情報について、確認する術がない。事故の真相を知りたいのに、政府側からも説明を得られない」と無念さを語った。
昨年結婚したばかりの楊峰さんは、事故で妊娠中の妻と3人の親族を失い、賠償同意書に署名していない遺族の一人である。彼は自分のミニブログで、真相の開示と鉄道部の陳謝を求め続けていくと表明していたが、26日に態度を変えた。「自分は本当に力がない」とミニブログでつぶやき、「これ以上堅持すれば、6人目の家族を失いかねない」と書き込んだ。
賠償協議書への署名を拒否しているもう一人の遺族・林さんは、政府が誠心誠意に被害者家族に接することが問題解決の根本だ、と語っている。
一方、救出活動に参加した鉄道労働者と名乗る人によるネット上の書き込みによると、現場に向かう救援列車には鉄道を復旧させる器材ばかりが積みこまれ、医療救援隊と医療器材はまったく積まれていなかった。
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