【大紀元日本1月19日】中国国家統計局は17日、2011年末に中国の都市人口は6億9079万人に達し、農村人口(6億5656万人)を初めて上回ったと発表した。改革開放政策が実施される1979年当初、都市住民の比率は19%と低い水準だったが、この30年間で51.3%まで上昇した。都市住民の比率は日本(66%)、米国(82%)、韓国(81%)を下回るが、同じ新興国であるインド(29%)を大きく上回った。
都市人口の増加で国民の生活水準の向上につながるほか、中国経済を牽引する強い原動力としても期待されているが、中国の都市化が「抜苗助長」(物事の発展の法則に反し、功を急ぐあまり失敗する例え)であり、社会不安を一層激化させる恐れがあると専門家は指摘する。
プリンストン大学中国問題専門家の程暁農氏はまず人口の統計に疑問を呈した。「いわゆる都市化は無意味な数字いじりに過ぎない」とバッサリ切り捨てた同氏によると、「地方政府は都市化のノルマを達成するために、行政区の地名を県から市に変え、農村人口が都市人口として計算されただけだ」という。
現在、多くの地方で農民が土地を奪われ「都市部に移住させられる」という荒療法が施されている。程氏は、都市化の実現は統計局の計算で判断するのではなく、都市住民と同等の労働報酬、住宅、子女教育を享受できるかどうかを見るべきだと指摘する。「同じ待遇を受けられなければ、都市住民と見なしてはいけない」
一方、都市化されると、農地が都市建設用地として「合法的に」収用することができる。地方政府にとって、都市化は土地を強奪し不動産開発で暴利を設けるための格好な常套手段でもある。
程氏は都市化の最大の問題は「さらに多くの社会衝突が生み出されることだ」と懸念を示した。「中国経済の減速や不動産バブルの崩壊で、農民工の就業機会が減少する見通しだ。都市部の最下層にいる農民工の生計が脅かされ、その上、インフレの悪化で彼らの生活がますます貧困になる」とし、都市化の加速は社会不安の新たな火種となる可能性を指摘した。
清華大学経済管理学院の程致宇氏も同じ懸念を抱いており、「政府は都市化を理由にたくさんのインフラ建設を行ったが、都市化の過程を成長持続の牽引力にしようとしない」と政府の都市化そのものに対する考えを批判した。
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