【大紀元日本6月5日】天安門事件の23周年記念日に当たる4日、人民解放軍の機関紙・解放軍報は論説記事を掲載し、「党は軍に対して絶対的な指導権がある」と党への完全服従を強調し、「軍の非共産党化など誤った認識を断固として排斥する」と厳しい口調で論じた。英BBCは軍と党指導部との間に不協和音が現れた可能性を指摘し、中国問題専門家は、同記事は軍の非共産党化を主張する周永康中央政法委書記への警告だとみている。
同記事は「国内外の敵対勢力は軍を重点目標にし、党との関係を離間しようとしている」と国内に反対勢力の存在をほのめかし、「軍は胡錦濤を総書記とする党中央の周りに固く団結すべきだ」と呼びかけ、「軍の非共産党化、非政治化と国家化など誤った認識に徹底的に排斥すべきだ」と述べた。
英BBCは、今秋の第18回党大会で指導部人事が刷新されるため、現指導部にとって軍の安定を保つのは最大の課題だと指摘する。さらに、軍の完全服従を求めているのは軍に党の指導に従わない動きが現れていると分析している。
同様な論説が政府メディアに掲載されたのは今回始めてではない。
解放軍報5月22日の記事で、軍にいる反対勢力に対して、「いざござを起こしたり、邪魔したりしてはいけない」、「火事場どろぼうになり、利益を得ようとしている」などと厳しく批判した。
5月15日にも同紙に、「軍の国家化などの騒音が絶えない。この誤った言論の背後にある陰謀を認識し、決して動揺してはいけない」との主旨の論説を掲載された。
軍の非共産党化などは周永康氏の持論であり、党が軍隊を指揮すべきではないと主張し、「軍隊の出動に中央政治局常務委員全員の同意が必要だ」と発言した。
そして、梁光烈国防省は2010年、党中央政治局などに対し公開書簡を送り、解放軍を国軍に改編するよう求めていた。
二人の動きは軍事委員会の主席でもある胡錦濤総書記の軍権を奪取する狙いがあるとみられ、指導部はかねてから神経を尖らせている。今年2月から起きた重慶事件後、周氏と重慶市元トップの薄熙来氏が企む習近平下ろしの政変計画が暴露された。梁国防相は以前から薄氏と懇意し、政変計画にも関与していると伝えられている。
胡氏らは重慶事件後、周氏を中心とする江沢民一派への包囲網を縮めている。粛清を避けるために、軍の国家化を求める言論は周氏からの胡氏への挑戦状だと大紀元のコラムリストで中国問題専門家の夏小強氏は分析する。
そんな中、シンガポールで開かれるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)に梁国防相が欠席した。米や仏の国防相が出席するなど重要会議にもかかわらず、強硬発言で知られる梁国防相の欠席は胡主席らの策略だといわれ、目的は梁氏、および江沢民一派の軍に対する発言力を弱めるためだと見られている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。