3月6日、全人代に出席した薄煕来氏(Getty Images)
【大紀元日本6月9日】今年4月に失脚した重慶市の元トップ薄煕来氏の審理は、公開される可能性があるという。党の上層部からの情報としてAP通信が5日に伝えた。今秋の第18回党大会で行われる指導部交代への影響を最小限にとどめようという狙いがあるとしているが、専門家はこれについて、否定的な見方を示している。
同報道によると、「数カ月の議論を経て、指導部は薄氏の公開審理をほぼ決めた」という。これまで、党内要人への処分は通常、内部で審議されていた。
審理の時期はまだ不明だが、今秋の党大会前に行われるとの見方が強い。
同氏の犯罪容疑は指導部メンバーに盗聴を仕掛けたことや、買春、政変計画、汚職などと伝えられているが、「指導部がもっとも心配しているのは、薄氏の汚職と違法な取締りの容疑だ」とAP通信は伝えた。国民の中で、これらの問題は政府幹部に普遍的に存在しているとの認識が根強いからだとしている。
香港紙「南華早報」の編集長である王向偉氏は4日の社説で、「指導部は8月前に薄氏の問題を解決したい」と述べた。同氏は上層部の宣伝機関と密接な関係を保っていると言われている。
一方、元新華社記者で反体制派の言論で知られる高瑜氏は、「公開審理は不可能」と否定的だ。「汚職や違法な取締りの罪に関しては、公開審理の可能性がほとんどない」と話す。
腐敗が横行している政界では、同氏の事件が公開審理されると、上層部のほかのメンバーを道連れする可能性が高いため、指導部はなんとしてもこの事態を避けたいと高氏は解説した。
さらに、中央政治局委員である同氏への公開審理は国家機密に触れる可能性があるとして、「ほぼ不可能」とみている。
国务院法制局の幹部だった俞梅荪氏はVOAの取材に応じ、「薄氏の事件はかなり複雑。そのうえ、薄氏にまだある程度の支持者がいるため、公開審理が行われれば、支持者が強く反発すると予想される。さらに、メディアも注目するため、当局にとって思わしくない」と公開審理に疑問を呈している。
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