米連邦地裁の陪審員団はこのほど、強姦・殺人罪で無期懲役の判決を受けて27年間服役した男性(64)に無罪を言い渡した。政府は男性に1665万ドル(約20億円)の賠償金を支払うという。
米ワシントン在住の黒人男性、ドナルド・ユージン・ゲイツ氏は1981年、当時21歳の女子大生、キャサリン・シリングさんを暴行、殺害した罪に問われ、翌82年に終身刑の判決を受けた。2009年に新たなDNA鑑定によって無罪が証明されたために、同年中に釈放された。
9人の陪審員からなる陪審団は11月18日、当時この事件の取り調べに当たった警察官2人が、ゲイツ氏の自供をねつ造し、その他の証拠を隠匿して同氏に冤罪を着せたと裁定した。
これを受けて、ワシントンD.C.政府はゲイツ氏に合計1665万ドルの賠償金を支払う和解案を提示した。同氏の服役期間に基づくと、一年あたりの賠償金額は約61.7万ドル(約7500万円)となる。
無実の罪で費やした刑期は27年に及び、逮捕当時30歳だったゲイツ氏はすでに64歳。今回の判決結果について同氏は「今日、ついに正義の鉄槌が下された。待ちに待った正義だ」と語った。
これまでに、連邦政府はすでにゲイツ氏に100万ドルを超える賠償金を支払ったという。
捜査当局は13年、DNA鑑定によって真犯人を特定したものの、この人物はすでに1年前に死亡、被害者の住んでいたマンションで働いていた当時の臨時清掃員だった男だ。
ゲイツ氏の代理弁護士は、証拠をねつ造した2人の捜査官が担当したすべての事件に対し、再捜査するよう求めていくと示した。2人の捜査官はすでに定年退職した。
(翻訳・桜井信一、編集・叶子)
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