アルゼンチンの沿岸警備隊は14日、排他的経済水域(EEZ)内で違法操業中の中国の漁船を撃沈した。事態を重く見た中国外交部は現在、アルゼンチン側と緊急交渉に当たっている。
同沿岸警備隊の発表によると、南大西洋アルゼンチン沖で違法操業していた中国漁船「魯烟遠漁10」に対し、巡視船が威嚇射撃を行うとともに停船命令を出したが、同漁船はこれを無視して公海への脱出を図った。その後、同漁船が巡視船に何度も体当たりを試みて抵抗したため、巡視艇は警告したうえで発砲した。漁船は沈没し、乗組員32人は全員救助された。
アルゼンチン外務省は、同国司法部門が現在この件について取り調べを行っていると発表した。
中国外交部は事件について「『魯烟遠漁10』がアルゼンチンの漁場で操業中、同国の湾岸警備隊巡視船に数時間にわたり追跡され、巡視船の発砲により漁船が浸水、沈没した」とだけ発表し、漁船が違法操業をしていたことや、体当たりで反撃したことについては触れていない。
中国外交部の陸慷報道局長は16日の定例記者会見で、現在両国の間で行われている緊急交渉で、中国政府はアルゼンチン政府に対し、漁船乗組員の安全と権利の保障や、同類の事件の再発防止、さらに今回の件について徹底的に調査を行うとともに、詳細な調査報告を提供するよう求めていると発表した。
この海域では以前から違法操業が多発しているという。
BBCの中国語ニュースサイトによると、アフリカのボツワナに事務局を置くストップ・イリーガルフィッシング・ワーキング・グループ(Stop Illegal Fishing [SIF] Working Group)が昨年行った統計では、中国の遠洋漁業船数は世界第一位で、1年間に2000隻以上の漁船が操業している。
(翻訳編集・桜井信一)
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