国際 文学巨匠ボルヘスをしのび「読者の日」に特別企画

地下鉄が「読書列車」に変身 ブエノスアイレスで400人が一斉読書【動画あり】

2025/08/27 更新: 2025/08/27

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで先週末、地下鉄の車両が一夜限りの「魔法の図書館」に変わった。8月23日、D線のホームには約400人の市民が本を手に集まり、列車が到着すると同時に一斉に車内で読書を始めた。スマートフォンを手にする人はおらず、静まり返った車内はまるで図書館のようだった。

 

車内で読書にふける乗客たち、2025年8月23日、ブエノスアイレス(NTD新唐人テレビより)

 

乗客が車内に入ると、次々に本を開き、車内は一瞬で静寂に包まれた。途中から乗り込んできた人々もその雰囲気に引き込まれ、自然と読書に加わっていった。終点に着くと、一部の参加者は互いに本を交換し、初対面の人同士が語り合う光景まで生まれた。

 

駅構内で本を高く掲げる乗客たち、2025年8月23日、ブエノスアイレス。(NTD新唐人テレビより)

 

この取り組みは、アルゼンチンで毎年8月24日に祝われる「読者の日」に合わせて実施されたもの。日付は同国が生んだ20世紀の文学巨匠、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの誕生日にちなむ。当日は参加者がボルヘスの代表作『アレフ』を声に出して朗読し、文学の魅力を改めて共有した。

 

20世紀を代表するアルゼンチンの作家・詩人・批評家、ホルヘ・ルイス・ボルヘス(スクリーンショット)

 

SNSでは「読書する人は絶滅危惧種だと思っていたが、希望を取り戻した」「これは美しい提案だ」と称賛の声が相次ぎ、実際に参加した人々からは「現場は本当に魔法のようだった」との興奮も投稿された。

 

車内で読書にふける乗客たち、2025年8月23日、ブエノスアイレス(SNSより)

 

本離れが進む現代社会で、地下鉄の車両いっぱいに広がった静かな読書の光景は、街の人々に強い印象を残した。「読書はまだ生きている」

ブエノスアイレスの市民がそう実感した一日となった。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 国際