北朝鮮が15日に行った軍事パレードには、約40ほどの海外メディアの記者が取材に招かれていた。イベント終了後、出国する記者が搭乗予定のフライトは「北京に雪が降った」など嘘の説明を受けて遅延していたことが分かった。気象当局によると、同日の北京は10~20度ほど。朝鮮半島の情勢が緊迫するなか、北朝鮮側の嘘は憶測を呼んでいる。
中国官製メディア・環球時報17日の報道によると、約20人の海外からの記者たちは同日午前8時半、平壌空港から出発予定の北京行き高麗航空JS151に乗り、中国に向かうはずだった。しかし、記者たちは搭乗手続き中に飛行機は遅れると伝えられた。
平壌空港はまた、ウラジオストック行き、瀋陽行きの便の遅れも伝えた。理由は公式には発表していない。いずれの便も、同日夕方までには離陸したと報じられている。
当時の平壌空港には、米国、ロシアなどからの海外メディアの記者らとともに数人の北朝鮮政府関係者がいた。
ロシアのメディア・RTは17日、在北朝鮮ロシア大使館の発表を引用し、北朝鮮航空当局が「遅延の合理的根拠はない」まま、フライトを延期したと伝えた。RTによると、遅延により影響を受けたのはCBC、CBS、ロサンゼルス・タイムス、ロシア24など。
環球時報やRTによれば、乗客は遅延の理由について「平壌の雨雲による」「北京で雪が降っている」「ある訪問者が同乗していた」などさまざまな説明を北朝鮮側から聞かされていた。気象当局が観測した北京の同日の気温は、10~20度ほどで、曇りだった。
緊張が高まる朝鮮半島で、北朝鮮側がついた嘘には、憶測が広がる。海外のメディア関係者を平壌にとどまらせるものだったのではないかとの見方もある。
伝えられるところによると、金正恩政権はこのたびの軍事パレードに約130人の外国からの記者を招待し入国していた。北朝鮮当局は、イベント終了後も多くの記者たちが平壌で取材を続けていると主張している。
中国の著名なメディア人・羅昌平氏によると、以前も、北朝鮮の祝日で金日成・初代最高指導者の誕生日を祝う「太陽節」の取材に招かれた海外メディア関係者の中国行きの便は9時間遅れたことがあるという。
羅昌平氏は、「彼らはそのまま(北朝鮮側の)従軍記者になる、ということもありえる?」とジョークを述べた。
朝鮮半島は緊張状態が続いている。多くの専門家は、北朝鮮当局は15日の太陽節に合わせて6回目の核実験を行うと予測していた。実験は行われなかったが、翌16日に金正恩政権はミサイルを発射。数秒間以内で爆発し、失敗している。
北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は英BBCの取材に応え、米国の軍事行動は「全面戦争を招く」と強く警告し、今後も定期的にミサイル発射実験を続けると述べた。
いっぽう、アジア歴訪中の米ペンス副大統領は同日、シリアやアフガニスタンでの攻撃を例にあげて、北朝鮮は「トランプ大統領の強さと決意を目の当たりにした」と、そのメッセージ性を強調。北東アジアにおける「米軍の強さを試すようなことはしないほうが賢明」とけん制した。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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