国慶節の連休中、タイを訪れた中国人観光客の行動が、タイ国民の困惑と失笑を招いている。タイ中国語紙の星暹(シンシャン)日報は10月6日、Twitterユーザ@ArpoPorさんが掲載した写真を取り上げた。中国人観光客が、火葬場の前でポーズを決めて記念撮影している。「きっと寺院と勘違いしている」と、タイのネットユーザはつぶやいた。
火葬場の前でポーズを決めるのは、世界中、どの国でも喜ばれる行動ではないだろう。しかし、人家に囲まれた通りの中心に建つ建物であり、伝統の建築物「サーラータイ」(タイの東屋)の様式であるため、外国人が火葬場と判断するのは難しい。豪華絢爛な装飾が施されているものもある。寺院との違いは、東屋に火葬場の小屋が隣接し、そこから煙突が伸びていること。
星暹日報は記事で「どの国どんな地域でも、祖先や遺産に畏怖の念を示すことが大切で、(火葬場の周辺での)行動には注意が必要だ」と指摘した。
タイの信仰は仏教が国民の9割を占める。葬儀と火葬はこの火葬場で行われる。大東文化大学のアジア研究者・小泉康一氏によると、タイでは多くの人は墓を持たず、散骨する習慣だという。身分の高い人物や土葬する中華系の富豪などは、墓を持つ。また、火葬場を囲む塀に埋め込み式の遺影を構える家族もある。
サーラータイは4本の柱で四方を吹き抜きにした、憩いのための建物。東京都台東区の上野動物園にも、日タイ修好120周年を記念して2007年に園内に設置されている。
(編集・甲斐天海)
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