ワシントン拠点の政策専門の経済学者ダニエル・J・ミッシェル氏はこのたび、大紀元に、共産主義から離脱した国々の経済を分析した記事を寄稿した。多く脱共産主義国は自由主義経済をとることで発展が見られたが、法律では社会主義基盤からの脱却に時間がかかるという。
ロマノフ朝が倒れ史上初の社会主義国家を樹立した、ロシア革命から100年が経った。私たちは邪悪なイデオロギーの席巻による犠牲者について考えなければならない。今日、共産主義から転換した多くの国々は、亡霊のように取りついていた思想の放棄を祝っている。「鉄のカーテン」崩壊から30年、多くの自由主義国が誕生した。
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フロリダ州立大学ジェームズ・グワートニー氏とヒューゴ・モンテシノス氏は、1995年から2015年にかけて、旧ソ連圏諸国の経済成果を分析した。中央集権国家または共産主義国と呼ばれていた国々だ。
これらの国は、計画経済より自由主義経済に移行すれば、経済は改善していくことが分かった。財政政策、貿易、金融政策、規制、法的枠組みの5つの主要政策分野で経済自由度の指数を示す、カナダの有力シンクタンク、フレイザー・インスティテュート(Fraser Institute)発表『世界経済自由度』(EFW)2015版を参考にして、両氏は指摘する。
「1995~2015年、計画経済の国々の経済データは印象的だ。その変化は、もっとも経済の自由化に力を入れた7つの旧共産主義国にみられる」。
世界経済自由度について、旧社会主義国の世界経済自由度の平均評価は7.5であり、米国の7.94(12位)に接近するまでになっている。ちなみに香港が8.97で最も高く、トップ10にはジョージア8位(8.01)、エストニア10位(7.95)が入る。日本は39位(7.47)。
両氏の報告によると、経済の自由度が高いジョージア、エストニア、リトアニア、ラトビア、ルーマニア、アルメニア、アルバニアの7カ国のうち6カ国で実質1人当たりGDPが2倍以上に増加した。これらの旧共産主義国は、高所得のヨーロッパ先進国より3倍近い速さで経済成長した。しかし、旧共産主義国でも、自由主義経済の程度が低い国ほど、成長率は低い。
旧社会主義国で、民間に開放された政策や市場参入を自由にする政策の多い国では20年の間に1人当たりのGDPは4.54%増加し、少ない国でも3.30%増加した。より自由主義をとる国の所得は、先例の高所得国に早く近づく。前者はまた、高所得国と比べ、平均一人当たりのGDPは1995年の19.9%から2015年の40.6%に倍増した。
ジョージアとバルト3国には特に良い変化がみられる。西欧諸国に比べ、ジョージアでは6.7%から20.3%に、エストニアでは33%から61.6%へと収入増加があった。ポーランドとスロバキアは「世界経済指数」の値はやや低かったが、良い政策の恩恵を受けて急成長を遂げている。
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世界経済指数スコアの下位層を見ると、ウクライナは貧弱に見える(149位、5.38)自由主義経済の政策がほとんどない国であり、予測できる結果だ。
しかし、旧共産主義国には欠点がある。法的基盤が脆弱であり、進歩もみられないことだ。
歴史的背景を考えると、驚くべきことではない。社会主義の下では、法制度は中央政府が利するよう設計されていた。裁判官、弁護士、司法当局は、政府に傾くよう組織され、報酬を受けている。個人、民間企業、民間団体の権利の保護は、社会主義の下では重んじられなかった。
この結果から、政治、経済、司法など、国を席巻した社会主義思想を変えるのは容易ではない。残念だが、そう言わざるを得ない。
(翻訳編集・佐渡道世)
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