台湾東部を襲った地震で、救出作業のため8日現地入りしていた警察や消防などの日本の専門家チームが活動を終え、10日に帰国した。チームはがれきの下の生命反応を感知する機器を台湾側に提供するなど救出作業に協力した。
10日、倒壊した12階建て集合住宅兼ホテル「雲門翠堤大楼」で新たに中国人旅行客5人の死亡が確認された。同地震で、死者は17人、負傷者は280人以上。建物内に取り残された全員の安否が確認されたため、近く捜索活動を終了し、ビルの解体作業に入る見通しだ。
一方、救助隊の派遣を断られた中国のメディアは日本の専門家チームが「48時間足らずでさっさと帰国した」と批判した。
地震発生後、中国政府からも直接花蓮県県長に電話を掛け、救助隊の派遣を申し出たが、台湾政府大陸委員会は「海外の援助は必要ない」と謝絶した。総統府は日本チーム受け入れの理由は「台湾より高性能な生命探知機があり例外だ」と説明している。
台湾政府の対応でメンツ丸潰れにされたと捉えた中国では、メディアは日本チームの活動を「政治ショー」と批判した。さらに、倒壊したビルに入らず、機材のみを提供する日本チームの対応をやり玉に挙げた。
連日、台湾地震を取材していた福建東南衛星テレビの葉林青記者はFacebookに「日本の救助隊は危ないとの理由で、探知機を提供するだけで倒壊ビルに入ることを拒否した」と投稿した。さらに、「中国の救助隊なら、絶対倒壊したビルに入って活動を行う」と付け加えた。
同記者の投稿は中国メディア、SNSに転載され、救助隊の派遣をめぐっては「日台政府の政治的演出」と批判する声が上がっている。
「現場に入らないなら、なぜ台湾に行くのか」
「日本の生命探知機を受け入れたのは政治的な要素が強い」
日本の専門家チームが帰国の前に、台湾側との写真撮影に応じた際、
「笑顔の人もいる。後ろのがれきの下にまだ5人の中国人が埋もれている」と批判が殺到している。
また「今回の地震で日本からの義援金は1440台湾ドル(約5340万円)。しかし、熊本地震の時、台湾から6400台湾ドル(約2億3700円)も寄付された。両国の経済力を考えれば差は歴然だ」との日台の友好関係に水を差すようなコメントもあった。
このコメントに言及された日本の義援金がいつのデータなのか不明だが、トヨタ自動車は8日、被災地域に向けて、1500万台湾ドル( 約5600万円)を支援すると発表した。
一日のアクティブユーザーが2600万人を有するQ&Aサイト「知乎」で「48時間足らずで撤退した日本の専門家チームをどう評価すべきか」とのスレッドが立ち上げられ、寄せられた211件の回答はほぼ否定的な意見だ。同スレッドを閲覧したユーザーは95万人。
一方、同記者の投稿は台湾メディアにも転載された。台湾市民からは「救助隊が自身の安全確保を優先するのは常識だ」「こういう記事を書いておきながら、なぜ中国が台湾人に嫌われているのかを理解できないといつも言っている。こちらこそ理解できない」「災害まで政治化しようとしている」との反応が寄せられた。
さらに、台湾メディアは日本チームの撤退について「現場の救助活動に迷惑をかけたくないから」と日本側の話として報じた。台湾総統府は、フェイスブックに日本語で「日本からの心温まるご支援に感謝し、決して忘れることはありません」と投稿し、感謝の意を表した。
2日間の日程を終えた専門家チーム・原田優団長は10日、台北市内で行われた記者会見で、「残念ながら生存者を引き出すことはできなかったが、レスキューワー(救助隊)同士の熱いつながりというか、連携を感じられて、非常に良かった」と語った。
(翻訳編集・李沐恩)
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