中国の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は29日の社説で「中国は(朝鮮半島情勢)の脇役ではない」とし、中国の役割を強調した。また、終戦宣言を現在の当事国である米韓朝のみで締結するとの一部の米韓側の動きを拒否する姿勢を示し、同情勢における中国除外論「チャイナ・パッシング(素通り、蚊帳の外)」に反論した。しかし、韓国の一世論には、朝鮮戦争で中国は非正規軍での参戦のため、終戦協定の参加資格を懐疑的にみる声もある。
環球時報、朝鮮半島情勢における中国の重要性を強調
韓国の文在寅大統領は5月27日、金正恩・朝鮮労働党委員長と2回目の南北首脳会談の結果を発表した際、 米韓朝の3者会談の必要性を強調し、中国が参加する4者会談について言及しなかった。
社説では、中国の役割を排除する「チャイナパッシング」が浮上しているとし、「韓米は中国を過小評価するな」と主張した。また、朝鮮戦争「停戦協定締結国」の一つである中国が終戦宣言に必ず参加しなければならないとの態度を明らかにした。
また、中国の地政学的な重要性にふれ、「朝鮮半島の重大な決定に中国を排除することは信頼性の高い実行に役立たない」と強調し、中国の役割を改めて力説した。
終戦宣言に名を乗せたい中国、法的には議論が必要
専門家らは、中国が社説を通して終戦宣言に参加するとのメッセージを伝えたと指摘する。イ・ナムジュ聖公会大学教授は「終戦宣言を米韓朝3者のみで行うのは適切ではないとの中国の考えを明らかにしたもの」とした。
中朝関係の専門家パク・ジョンチョル教授は、大連で行われた2回目の中朝首脳会談時、金正恩氏と習近平・中国国家主席が北朝鮮の核問題について「戦略的協力・意思疎通」という表現を使って、中朝関係の回復を議論したと推測している。
しかし、トランプ大統領は5月24日、北朝鮮の「むき出しの敵意」を理由に、直近に迫るシンガポールでの米朝首脳会談をキャンセルすると公開書簡で表明。その後、北朝鮮はすぐさま態度を軟化させた。中国は、朝鮮半島情勢から除外されることを懸念し、改めて北朝鮮に態度変化を働きかけたとみられる。
中国が終戦宣言に参加するという思惑を明らかにしたものの、法的問題などが絡んで容易ではないとの観測もある。停戦協定における中国軍は正規軍ではなく、人民志願軍、すなわち義勇軍であった。正式に朝鮮戦争に中国が参戦していなかったため、当事国ではないとの指摘がある。
中国政府とのコミュニケーションを維持すると同時に、先ずは、現在の当事国(米韓朝)のみで終戦宣言をするのが合理的だという主張もある。
(翻訳編集・齊潤)
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