[ワシントン/インスタンブール 22日 ロイター] – トランプ米大統領は22日、サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の死亡を巡るサウジ当局の説明に満足していないとしつつも、今後サウジからの対米投資を失うことは望んでいないと述べた。
トランプ大統領はサウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と電話で話したとし、サウジとトルコに派遣した米当局者が22日夜か23日に帰国すればより詳しい状況が明らかになるとの見方を示した。
大統領はホワイトハウスで記者団に対し「これまでに聞いた説明には満足していない」と述べた。その上で「米国で行われた投資を失いたくないが、真相を究明する」と語った。
トランプ氏はこれまでに、サウジが多額の軍事品を米国から購入していることや米企業に大規模な投資を行っていることを踏まえ、経済制裁には消極的な姿勢を示している。
今月2日にトルコ・イスタンブールのサウジ総領事館訪問後に消息を絶ったカショギ氏について、サウジ政府の説明は二転三転している。当初は同氏の消息は知らないとしていたが、その後、総領事館で起きた争いで死亡したと説明。各国からは信ぴょう性を疑問視する声が上がった。
一方、同国のジュベイル外相は21日、カショギ氏が「ならず者の仕業」で死亡し、サウジは同氏がどのように死亡したか知らないなどと発言。サウジ検察当局が前日に示した、総領事館内で起きた殴り合いの争いの末に死亡したとの説明と矛盾する格好となった。
トルコ当局はサウジの工作員が総領事館内でカショギ氏を殺害し、遺体を切断したとみている。トルコ関係筋によると、当局は殺害の様子を録音したとみられる音声記録を保持しているという。
トルコのエルドアン大統領は捜査に関する情報を23日に発表する意向を示している。
クシュナー米大統領上級顧問は22日、CNNとのインタビューで、事実を明らかにするようサウジのムハンマド皇太子に促すとともに、サウジの説明を「世界が注視している」と伝えたことを明らかにした。
クシュナー氏は皇太子と緊密な関係を築いており、米高官によると、サウジとの重要な戦略・経済関係を損なわないために慎重に対処するようトランプ大統領に促したという。
英独仏、トルコなど複数の国はサウジに全ての事実を公表するよう求めており、メルケル独首相は21日、真相が明らかになるまでサウジへの武器輸出を停止すると表明。22日にはアルトマイヤー経済相が、欧州連合(EU)加盟国に同様の対応を呼び掛けた。
サウジの同盟国にとっては、ムハンマド皇太子が関与したと判断するかどうかが鍵となる。
ロシアのラジオ局「モスクワのこだま」によると、モスクワを訪問中のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、事件についてサウジ側と協議を続けているとし、「協議するだけでなく真実を知りたい。まずカショギ氏が死亡した理由や誰が殺害したかを知る必要がある。内実を全て知る必要がある」と述べた。
サウジの首都リヤドではムニューシン米財務長官がムハンマド皇太子と会談。国営メディアによると、両氏は両国間の「戦略的連携の重要性」を協議した。
*内容を追加します。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。