中国IT企業などへの投資として盛んになっているベンチャー・キャピタル(VC)の規模が、今年4~6月期において、前年同期比77%で急減したことに注目が高まっている。背景には、中国企業の技術開発力の乏しさや米中貿易戦の影響があるとみられる。
過去5年間、中国企業へのVCの急拡大で、世界的に人気の動画アプリ「TikTok」の運営会社バイトダンス(ByteDance)や、電子決済システム「アリペイ」の運営会社アント・フィナンシャルなど次世代IT大手が急成長を果たした。2018年、中国企業へのVC規模が1050億ドル(約11兆3673億円)を上回り、米の1106億ドル(約11兆9736億円)にほぼ肩を並べた。
ブルームバーグ10日付によると、英資産運用情報会社、プレキン(Preqin)が公表した最新統計では、4~6月の中国企業へのVCは94億ドル(約1兆176億円)で、昨年同期の413億ドル(約4兆4707億円)と比べて大幅に落ち込んだ。一方、米企業に対しては同15%増の277億ドル(約2兆9988億円)となった。
米CNBC14日付の報道によれば、アナリストや投資家は、中国テクノロジー企業の技術開発力の乏しいことが中国におけるVCの急縮小の主因だと指摘している。投資家は、新たなイノベーションを生み出せない企業に興味を示さないからだという。
また、米中貿易戦も中国のVC規模の急減をもたらしたとの見方がある。ブルームバーグは、今後の米中通商協議の先行き不透明感で、投資家は中国のスタートアップ企業への投資活動を見直しているとの見解を示した。
米政府が最近、一部の中国ハイテク企業を対象に禁輸制裁を実施したことで、投資家は中国企業への投資に慎重になっている。トランプ米政権は、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に対して、一部の禁輸措置を緩和したにも関わらず、ファーウェイを禁輸措置対象リストから除外しない方針を示している。
CNBCは、上場企業ではないファーウェイへの米政府の強い姿勢によって、海外株式市場に上場する中国企業に影響が出ていると報じた。2018年9月に上場を果たした中国電動自動車メーカー、蔚来汽車(NIO)の株価は、今年に入ってから46%急落した。昨年7月に香港市場に上場した中国スマホメーカー、小米科技(xiaomi)の時価総額も、株価の下落で縮小しているという。
(翻訳編集・張哲)
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