日本の河野太郎防衛大臣は12月中旬、カタールのドーハで開かれた「第19回ドーハ・フォーラム」で演説し、中国の南シナ海における活動に対して憂慮すると述べた。また、自国の境界以上に勢力を拡大する「侵略者は代償を払わなければならない」と強く警告を発した。
河野防衛相は18日に中国を訪問し、魏鳳和・国防相と会談する予定。日本のNHK国際放送は14日、河野防衛相はドーハで、中国の南シナ海での活動に言及したと報じた。防衛相は、「中国は自らの秩序に合っていないとの見方から、南シナ海の現状を一方的にかつ高圧的に変えようとしている」と述べた。
また、「中国は透明性を欠いたまま、急速に軍事力の強化を進めている」とし、核能力とミサイルの開発を注視しているとした。「法治は、中国を含む国際社会の共通の価値であり、世界の安定と安全に欠かせない」と述べた。
河野太郎防衛相は「侵略者は代償を払う必要がある」と述べ、自国の境界以外に勢力を拡大しようとする一部の国の動きに警告を発した。中国を念頭にしているとみられる。
国際法上、南シナ海の大部分はベトナムの主権下にある。しかし、中国政府はこれに反対し、フィリピン、マレーシア、台湾海峡に至る水路はすべて中国のものだと主張している。この主張は2016年、国際仲裁裁判所で退けられた。
南シナ海は世界で最も交通量の多い航路の一つ。年間の輸出入を合わせた貿易額は20兆ドルにおよぶとされる。
サウスチャイナ・モーニング・ポストは、河野太郎氏は安倍首相に継ぐポスト首相と報じている。魏鳳和・中国国防相との会談が予想される前、今回のドーハにおける談話を発表した。中国の習近平国家主席が来春に訪日する予定で、安倍首相は日中関係について「正常な軌道に戻った」と表現している。
このたびの日本の防衛大臣による強硬発言について、米シンクタンク・スティムソンセンターの東アジアおよび中国担当主任の孫韻氏は、「中国と南シナ海の問題に関する立場および日本政府の一貫した立場は、変化しないだろう」とボイス・オブ・アメリカの取材に答えた。
孫氏は、さまざまな安全保障フォーラムで、日本の防衛省と日本政府の態度は常に明確だとした。
令和元年の防衛白書および外交青書には、いずれも「中国による透明性を欠いた軍事力の拡大や東シナ海等における一方的な現状変更の試み、および軍事活動の拡大・活発化は、地域・国際社会共通の懸念事項」と記している。
テンプル大学ジャパンの国際関係学教授・村上裕美氏は、サウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に対し、「中国はどこへいっても我が物顔のままでは許されない」という、中国に対する警告だと分析した。これは、多くの国際政治学者の認識だと付け加えた。
今回の河野防衛相のスピーチは、日本とインドの安全保障対話前に発せられた。村上氏は、中国が勢力を拡大するインド太平洋地域において、日本はインドとその他の国と連携することが必須だとした。
中国外交部、国防部および中国の官製紙は、今回の日本の河野防衛相によるドーハ談話について、公式コメントを出していない。
(翻訳編集・佐渡道世)
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