北京で開催中の全国人民代表大会(全人代)による香港国家安全法の導入案をめぐり、事情に詳しい中国共産党の元幹部(匿名)が大紀元に北京上層部の思惑を明かした。
香港在住のこの元共産党幹部によると、北京はもともと1月に米中第1段階の貿易協定に合意した後、2月に香港国家安全法の導入を進める予定だったが、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生で実施が予定より遅れたという。
また、国際環境が悪化している現在、北京は米中関係をすぐに修復するのは難しく、他の西側諸国との関係もかろうじて維持しているだけだと認識している。
最高指導部は、香港がますます「外国勢力による中国への干渉」の足がかりになり、政権転覆につながりかねない禍根を断つため、規制強化が必要との認識を強めている。
同法の実施にあたり、香港を主管する中央政府の最高機関「中央香港マカオ工作協調チーム」が主導し、香港政策を担当する国務院香港マカオ事務弁公室や海外に浸透工作を展開する中央統一戦線工作部(統戦部)、中央宣伝部、公安部、国家安全部、商務部、中国人民銀行(中央銀行)など各機関も関わっている。
一方、軍事上の備えも行われている。広東省武装警察部隊(武警)は随時出動できるよう待機している。軍需物資や装備はすでに香港の軍事基地に運ばれた。
中国当局は国営中央テレビや支配下にある香港地元メディアを通じてプロパガンダを展開している。香港の各業界団体や同郷会などの親中派を動員し、香港国家安全法への支持表明を促している。
中国および香港政府側は、いわゆる「一握りの違反者」を取り締まるという名目で民主派に容赦なく打撃を与え、9月に行われる立法会選挙で親中派の勝利を確保する計画を進めている。
同情報筋によると、欧米諸国の干渉を避けるため、北京は最終的に香港政府が国家安全法(基本法の23条)を制定することを目標にしている。いずれも年内の完成を目指すという。
(翻訳編集・王君宜)
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